第二章 兎の始末

第22話 幻妖京の探索

 気味の悪い予言を残す妖に遭遇したその日、カミちゃんは突然居なくなった。


 最初はただ、いつものように周囲の偵察に行っているのかと思っていた。そのため、それほど気にもせず待っていたのだが昼を過ぎても夜が近づいても帰ってこない。


 人魚の棲む川へ招かれた場所だったので、璃耀はさっさとこの場を離れたかったようだが、カミちゃんが帰ってこなければここを動くことはできないと私が強硬に主張した。これだけは譲れない。

 楠葉が間に挾まれオロオロしているのをよそに言い合いをしているうちに、周囲が闇に包まれ始め、結局拠点を移す方が危険だと判断した璃耀の方が先に折れた。


 翌日、調べ尽くすまでどうあっても私が譲らないと悟った璃耀は途中で説得を諦め、次の日もその次の日も、草の根を分け、手分けしてカミちゃんを探していくことになった。

 ただ、薄っぺらい小さな紙人形を探すのは非常に困難だ。

 しかもこの妖世界。奇妙なことに巻き込まれるのは日常茶飯事だし、妙な妖に連れ去られるのだって珍しくない。

 人魚に連れて行かれたのかもと人魚に遭遇した場所で呼びかけてみたり、たまたま発見した小さな妖に見かけなかったか聞いてみたりしたが、手がかりは掴めないままだった。


 三日目の昼、痺れを切らした璃耀が、疲れたように溜息を深くついた。


「これだけ探して出てこないのです。もう別の場所に移動したのでは?」

「……私もそう思います」


 楠葉も珍しく、璃耀の隣で私に向き合う。


「でも、迷ったただけって可能性もあるし、そうだとしたら、ここに帰って来るかもしれないし……」


 私がそう言い募ると、璃耀は静かに首をふる。


「こんな事は言いたくありませんが、あの紙太がそんな迂闊な事をする筈がありません。楠葉じゃあるまいし」


 最後に付け加えられた言葉に、楠葉はショックを受けたように璃耀を見る。


「じゃあ、何か変な妖に連れて行かれたとか……」

「あんな紙ペラ一枚の人形を、誰が好き好んで連れて行くと言うのです。利が全くありません。あるとすれば、気に障ることをして丸められるか破り捨てられるかくらいでしょうか」


 ……それはありえそうだ……


 カミちゃんの今までの行動を思い浮かべて顔色を変えた私に、璃耀は困ったような顔をする。


「しかし、これだけ探して紙片一つ見つからないではないですか。紙太自身が自分から出ていったと思うほうが自然です。」

「でも、黙って出ていくなんて……」


 私の言葉に、璃耀は僅かに眉を上げる。


「喋れず文字を残せない紙太が、どうやって我々に知らせることが出来るのです?」


 私は押し黙った。ジェスチャーや絵などあるかもしれないが、それではどうしても限界がある。


「紙太だって我々が都に向うことはわかっているのです。移動しながら探してはいかがですか? まあ、自分から出ていったのであれば見つからないでしょうが」


 私は璃耀の言葉に俯く。

 確かに、自分から出ていった可能性が高いのかもしれない。でも、ずっと一緒だったのに余りに突然過ぎる。

 本当に、ふらっとここに戻って来るようなことは無いのだろうか。


 私が黙ったまま考え込んでいると、璃耀はもう一度、フウと溜息をついた。


「では、読めるかは分かりませんが、置き手紙を残しましょう」


 そう言うと、木札と墨と筆を取出しサラサラと何かを書き付ける。私には全く読めない文字だ。

 そして、それを近くの木に立てかけた。


「我々は都に向うと書きました。戻って来るようなことがあれば、都へ来るでしょう」


 璃耀の言葉に小さく頷く。

 後ろ髪を引かれる思いではあるが、璃耀と楠葉の説得に負けて、私達はその場を後にした。


 それから数日後。

 カミちゃんが見つかる気配も追いかけてくる気配も微塵もないまま、私達は都の入口に辿り着いた。



「あれが幻妖京です」


 璃耀の指し示す先には大きな門がどどんと構えられていた。人の往来も多い活気のありそうな場所だ。さらに、門の手前には店が数軒構えられている。


 都に入るには人の姿になる必要がある、というのはしっかり周知されているようで、人の着物を売る古着屋が門の前にも出されているのだそうだ。

 確かにそれは有り難い。


 ウールの貫頭衣は楽だが都ではかなり浮く。

 着物が無いのは私だけなので、良さそうなものを一枚選んで楠葉に着方を教えてもらった。


「私がやりましょうか?」


と言ってくれたが、この世界で生きる以上、自分で着付けくらいできないと困るだろう。


 着替を終えて外に出ると、璃耀が目元を隠すような鳥の面を着けていた。

 物凄く異様な雰囲気だが、楠葉はキラキラした目を璃耀に向けている。


「璃耀さん、凄くかっこいいです!」


 青い髪に紫の着物、鳥の面の姿では凄く目立つのでは無いだろうか。


「何故そんなものをつけるの?」


と聞いたら、


「鳥の面を着けた薬売りとして通っているので、この方が都合がいいのです。それに、面を着けるものはそれほど珍しくありませんよ」


と笑った。


 門に近づくと人がどんどん増えていく。璃耀が言った通り、ところどころに動物や鳥の面、顔をすっぽり覆うような覆面をしている者がいた。

 私も人のことは言えないが、髪の色も様々なので、パッと見仮装パーティに見える。璃耀だけが目立つということは無さそうだ。


 門の手前には二人、武装した男が立っていた。不審者を取り締まっていると璃耀に教えてもらったが、欠伸をして突っ立っているだけなので、役割の半分も仕事をしていないと思う。


 そもそも幻妖京は、堀や城郭はないが、結界に囲まれていて、空を含めて守られているのだそうだ。入るには、東西南のそれぞれの門を通るしかないそうだが、そこの門番があの調子で本当に大丈夫なのだろうか。


 ただ、上空からの襲撃の心配がないというのは、大きな鳥に連れ去られた経験のある私としては大変安心できる作りだ。


 門をくぐり、門の影から向こう側が見えるようになると、そこには時代劇で目にするような雰囲気の町が広がっていた。人が多く活気に満ち、とても賑やかだ。


「わぁ!」


 足を止めて、私と楠葉は歓声をあげる。

 そんな私達の腕を掴み、璃耀はそそくさと道の脇に寄った。次から次へと人がやってくるので、すごく邪魔になるのだ。まるで縁日のような混み具合のようで、こんなに妖が居たのかと感心する。


「凄い人だね……」

「妖の世の中枢ですから」


 璃耀は苦笑しながら、キョロキョロする私を見て言った。

 楠葉はすぐに迷子になりそうだったので、しっかり手を繋ぐことにする。


「まるで姉妹のようですね」


と璃耀が言うので、


「頼りにしてるよ、長男」


というと面の向こうで目を丸くされた。


 実際問題、道を進むには背の高い璃耀が目印だ。

 背の低いお上りさんの我々は、璃耀から離れたら致命的だと思って行動したほうがいい。


 とはいえ、混み合っているとは言うが、幻妖京の道は実はかなり広い。

その広い道に、道幅を3分割して三本の道になるようにゴツゴツした石造りの灯籠が左右にずっと並んでいる。道の端ではなく、随分と中途半端な場所にあるし、大きいのがたくさん並んでいるので存在感がある。


 ただ、それよりも不思議だったのが、灯籠で分割された真ん中の通りには誰も入らないということだ。

 時々、左右を注意深く確認したあと、タタっと向いの商店へ走っていく者もあるが、それもあまり多くない。

 一方で、両端の道は人々が行き交い混雑していて、さらにそこを馬や人力車が通る。


 楠葉も不思議そうに首を傾げた。


「何故、あんなに人がいるのに、真ん中を誰も通らないのでしょう?」

「牛車が通るのだ。車通りといって、牛車以外のものは通れないことになっている」


 璃耀が言うには、真ん中の道は、貴族の牛車専用なのだそうだ。牛車の前を横切ったり、行方を阻んだりすれば、切り捨てられても文句は言えない。そのため、必ず真ん中の道は開けておくのだそうだ。反対側へ渡りたい場合には、牛車が視界にないことを確認して速やかに渡らなければならない。牛車側から横断していることがわかれば、咎めを受けることになるのだという。


 そそくさと渡っていった人がいたのはそういう訳だったのかと納得する。


 こんなに広い道で常時使うわけでもないのに、特権階級の横暴だ。


 ……それにしても、牛車か。


 街並みは江戸くらいといった感じなのに、人の世で考えれば時代がちぐはぐだ。馬もいて人力車もある。これだけ道も広いのだから、馬車でもよさそうなものだが。

 そう思って璃耀に尋ねると、


「常に雅であることが貴族としては大切なのだそうですよ」


と苦笑した。

 やっぱり、ここは似て非なる場所で、特有のルールや社会があるのだろう。

 まあ、深く関わることもないだろうし、都を巡る上での最低限のルールだけ押さえておけばいいだろう。


 さて。私たちは今、南門を入ってきたところだが、それぞれの門に繋がる道は大通りとなっていて中央で交差しているそうだ。他にも縦と横に路地があって、碁盤の目状になっているのだという。


 東西門を繋ぐ大通りから南側が庶民の住まいと商店や宿屋があり、北側が貴族の住まい。貴族の住まいも、南に近いほど下流貴族が住まい、北に行くにつれて中流、上流となっていくらしい。


そして、南門からまっすぐ北に進むと、一番奥に幻妖宮があり、帝の御所なのだという。

 そこにも都に張られてるのとは別の結界があり、御所を守っているのだそうだ。


 ということで、私たちは東西門の通りから南側の商店通りで、カミちゃんを探しながら必要な物を手に入れる。

 とは言っても、もはやカミちゃんを探しているのは私だけだ。璃耀はそもそもその気はないし、楠葉も諦めモードである。

 自分から出ていった、という説が有力である以上、私も強くは言えない。


 紙人形の気配がないか、周囲をキョロキョロ見回しながら、色とりどりの髪色で思い思いの着物に身を包んだ男女とすれ違う。門でみたのと同様、木彫りの面をしている者や覆面をしている者が結構いる。中には動物の耳を隠しきれていない者もいた。

 皆人間の姿形をしているのに少し異様な雰囲気があって、それでも皆が平然としているのを見ると、やはり妖の都なのだなと思う。


 ひとまず私達は、目的の一つだった道具屋を見ていく。私が知っているものとは少し違うが、釘と金槌はすぐに発見できた。

 璃耀に教えてもらい、持っている金額で足りそうだったので早速購入する。

 忘れずに紙人形の目撃情報を求めたが、不審な者を見るような目でみられて終わった。


「そのようなもの、どうするのです?」


 店を出ると璃耀に聞かれたので、家造りに必要なんだよ、と言ったら物凄く驚かれた。


「白月様が御自分で作られるのですか?」

「山羊七さんにほとんどやってもらったけど、家自体はもう出来てるの。ただ、もう少し充実させたいというか……家具も増やしたいし」


 私が自分の家を思い浮かべながら答えると、璃耀が何か言いたげに私を見つめた。しかし、私が首を傾げて見上げると、グッと口をつぐんだのがわかった。


 あとは鋸がほしいのだが、これが全然見当たらない。こんな立派な建物が建っているのに、鋸が売っていないというのはどういうことなのか。大工さんの専門店のような特別な店でしか手に入らないのだろうか。


「うーん……鋸がないね」


と言ったら


「なんです?それは。」


と璃耀に言われた。

 違う名称で呼ばれているのか、物自体が無いのか判断がつかない。


 ひとまず使い道と使い方を説明しているうちに、道を塞ぐ人集りにぶつかった。


 車通りに出られないので、少々の人集りでも道を塞がれてしまう。凄く邪魔だ。


何事かと覗き込むと、狐面をつけた橙色の髪の大柄な男が往来の真ん中で正座をし、腰に手を当てた小柄なおばさんに怒鳴られていた。


「逃げおおせると思ったら大間違いだよ!」


と大きな声が聞こえる。


「食い逃げだそうだ」

「大男が情けないもんだな」


とヒソヒソとした声が聞こえてきて、事情を察した。飲み食いしなくても生きていけるこの世界にあって食い逃げとは。


「だから、ツケにしておいてくれと言っているだろう。金は帰ればあるんだ」

「そんなことを言って、今回で何度目だい!今日という今日こそ払ってもらうからね!」


 大柄の男性が身を小さくしておばさんに叱られている姿は、なんだか滑稽だ。


 そう思っていると、璃耀にぐっと腕を引かれる。


「別の道を行きましょう」


 確かに、こんなところで野次馬をしていても仕方がない。私は頷いて、来た道を引き返そうと踵を返す。


 しかし、すぐに背後から


「璃耀!」


と大きな声が響いた。


 声の主を振り返ると、先程まで助けを求めるように身を縮めながら周囲を見回していた狐面が、見つけたとばかりにこちらを見ていた。


 私は隣にいる璃耀を見上げる。

 しかし、璃耀はまるで聞こえていないかのように私の肩を押して向きを変えさせ、楠葉の腕を取る。


「行きましょう。」

「え、いいの、あれ?」


 そのままぐっと背中を押されつつ、首だけで後ろを振り返ると、狐面がじっとこちらを見つめている。何となく、捨てられた子犬のような雰囲気を醸し出している気がする。いや、小狐か。


「同じ名の違う者の事でしょう。なんの関係もございません」

「でも、スゴイこっち見てるけど……」


と言いかけると、璃耀は有無を言わさぬ圧力のある目を面から覗かせたまま、口元だけニコリと笑み、背を押すその手に力を込める。

 一刻も早く立ち去りたい、ということなのだろう。


 しかしそんな思惑とは裏腹に、先程まで狐面を傍らで見下ろしていたおばさんが目ざとくこちらを見つけて早足で歩み寄ってきて、璃耀は肩をぐっと掴まれた。


「あんた、あの人の知り合いだったら、あんたが金を払っておくれ」


 璃耀は厳しい表情のおばさんに向けて柔らかい笑みを浮かべる。


「御冗談を。あのような者、私は知りません」


 しかし、キッパリと言い切ってそのまま踵を返そうとしたところで、璃耀は急に駆け出してきた狐面に反対側の肩を勢いよく掴まれた。


「璃耀、頼む、金貸してくれ!」


 男は情けない顔で璃耀を見る。


 近くで見ると、背が高くて筋肉質な体つきが良くわかる。

 璃耀はその男の顔を見上げ、底冷えのするような冷たい視線を向ける。


 狐面がうっと僅かに怯んだすきに、まるで汚いものでも摘み上げるかのように男の袖を掴み、その手を自分の肩から下ろした。


 そして、作り笑いと分かる笑みを浮かべて


「人違いではありませんか?」


と言い放った。

 面の向こう側に見える男の目が困ったように細められる。


「璃耀〜……」


 しかし、璃耀は動じない。


 二人がやり取りしている間に、おばさんが私の隣までやって来る。


「あんたら、そこの鳥の面の人の連れだろ?あんたらからも何か言ってやっとくれよ」


 いつの間にか、野次馬は私達を中心に取り囲むようになっていた。外から見れば完全に当事者になってしまっている。


 私は璃耀の袖を引く。


「知り合いなんでしょう? 助けてあげたら?」


 早く解決したほうがいいんじゃない?と野次馬に目を向けると、璃耀は心底嫌そうに周りを見たあと、仕方なさそうにため息をついた。



 結局、飲み食いした費用は、璃耀が肩代りすることで決着がついた。


「金は返さなくていいから、もうどこかに行ってくれ」


 問題が解決して満足そうな顔で私達の後をついてくる狐面の男に、璃耀は疲れたような声で言う。


「なぜだ。久しぶりに会ったのだから、ゆっくり話でもしようではないか」


 狐面は全く意に介さず、璃耀の背中をバシバシと叩く。そして、


「それにしても……」


と言いながら、私達をじろじろ見た。


「璃耀にこのような趣味があったとはな」

「失礼なことを言うな」


 幼女趣味と言いたいのだろうか。


「では何だ。女を作って子ができたのか?随分デカいがいつの子だ?お主でもそういうことに興味があったか?」

「私の子ではない。そして、其方には関係ない。」


 璃耀の反応は素っ気ない。

 というか、会話も早々にさっさと追い払おうとしているようだ。


「お二人はどんな関係?随分気安い関係みたいだけど、お友だち?」


 私が空気を読まずに興味本位で尋ねると、狐面は「おっ」と言って私を見た。が、すぐに璃耀が遮る。


「どうという関係でもありませんよ。顔見知りの知り合いです。」


 言葉を遮られた狐面は、機嫌を損ねたように、フンと鼻を鳴らす。


「そのようにつれない事を言うな。昔は共に、、、」


と言いかけたところで再び璃耀はピシャリと言葉を遮る。


「昔話など必要ない。そもそも、其方は何故こんなところに居る。仕事はどうした?」


 狐面はそう尋ねられると、口をへの字に曲げる。


「辞めた。ここで詳しくは言えないが、良くない動きをし始めた。

 もともと体を動かすしか出来ぬし、お主と違って主が変わろうとも我らのやることは大して変わらなかったからそのまま留まったが、さすがについて行けぬ。」


 話の内容はさっぱりだが、璃耀は昔、他の誰かに仕えていた言うことだろうか。璃耀の昔話が気になったが、当の璃耀はそのまま黙って考え込んでしまった。


「気になるなら、今夜あたりどうだ?」


 狐面は、手でお猪口を握る振りをしてクイッとあおる。


「できれば関わりたくないのだがな。」


 璃耀は顔を引き攣らせた。



 結局璃耀は押し切られ、月が昇り始める頃にいつもの場所で、と約束させられていた。


 私と楠葉は宿でお留守番だ。絶対に部屋から出てはならないと、くどいくらいに言い聞かせられ、璃耀は出かけていった。


 楠葉は初めての都に疲れたのか、すぐにコテンと寝てしまった。


 私は窓の欄干にもたれて外を眺める。

 昔の人は、日の出とともに起きて日の入りとともに寝る生活だと聞いていた。

 実際、羊家族も山羊七もそんな感じだった。

 だが、ここはそうではないらしい。

 商店通りから一本入ったところにある宿だが、通りからざわめきが漏れ聞こえ、煌々とした灯りが向こうの夜空を照らしている。


 私はぼうっとそれを眺めながら、今日の出来事を思い出す。


 璃耀は都に来てからというもの、何故か今まで以上にピリピリしている気がした。

 人の世でも、栄えている街は何もない田舎と違って治安も悪い。

 だからかと思ったが、少し様子が違うようにも思えた。特に、狐面の男に会った時から。


 それに、カミちゃんも結局見つからなかった。

 都に来てはいないのだろか。

 小さな紙人形だし、いたとしても見つからないかもしれない。

 私の相棒は、今頃どこで何をしているんだろう。



 翌朝、早朝に帰ってきた璃耀にぽんぽんと肩を叩かれて目が冷めた。


 欄干にもたれかかったまま寝ていたらしい。


 今まで野宿が当たり前だったから、布団で寝られたはずなのに勿体ない事をしたなとは思ったが、璃耀にネチネチと説教される事になるとは思わず、憂鬱な思いで二日目の朝を迎えた。

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