概要
日常を侵食する妖怪オカルトファンタジー
日常において右目を閉じたまま生活している男。倉木 悟(くらき さとる)
右目に抱えた秘密のせいで人間不信気味の彼だったが、時折遊びに来る年の離れた騒がしい従妹、夏木 結(なつき ゆい)のお陰でそれなりに楽しい毎日を送っていた。
だがそんな仮初めの平和な日々の中に怪異は潜み時に牙を剥く。
ある日、結は悟の元に高校の同級生の少女を連れてくる。
存在しないはずの無いものが見え、起こらないはずの異常が起きる。
浸食されていく平和な日々、壊されてしまう日常。
その時、悟の右目は何を見て彼はどう動くのか?
こことは少しだけ違った世界。怪異と人間が交わる物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!人と人ならざる者との縁
物語が進むにつれて、楽し気な雰囲気の中にありながら、詳らかになって行く主人公達の過去と、その周囲に絡み続け、断ち切れない何か。
過去と現在が繋がり、人と人ならざる者との間に築かれてゆく縁(えん)と情。
その結び付きと共に、怪異と対峙して行く主人公達の未来は何処へと帰結し、そして原点となる過去とどう向き合う事になるのか……。
読者は、抜群の筆致で描かれる世界にのめり込み、いつの間にか物語の中を共に歩む事になる。
そして、目の前で展開されて行く楽し気な日常とは裏腹に、怪異との邂逅に驚き、その存在に恐怖し、そして主人公に救われた自分に気が付く。
そう、この物語を読みながら、読者の後ろに現れて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!不視にて悟る自覚と共に
覚(サトリ)という妖怪をご存知でしょうか。
相手の心を読む力を持つと言われ、戦おうにも悉く行動を読まれ、攻略が大変難しいことで有名です。
昨今は妖怪に限らず、異世界物の神様や強敵の魔王様なども同じような読心術は普通にスキル化されているので、皆様も攻略するのは大変な思いをしてらっしゃるのではありませんか?
もし自分にそんな力があったらどうなんでしょう?
様々な場面で、最初は面白いと思うのです。
でも、すぐに虚しくなるはずです。
対人関係も維持が難しいと思います。
バラしても黙っていても、真っ当な付き合いはできない。
好きになった人の心情が全て聞こえてしまう、これってある意味…続きを読む