悟るの日常

作者 畔藤 

不視にて悟る自覚と共に

  • ★★★ Excellent!!!

 覚(サトリ)という妖怪をご存知でしょうか。
 相手の心を読む力を持つと言われ、戦おうにも悉く行動を読まれ、攻略が大変難しいことで有名です。
 昨今は妖怪に限らず、異世界物の神様や強敵の魔王様なども同じような読心術は普通にスキル化されているので、皆様も攻略するのは大変な思いをしてらっしゃるのではありませんか?

 もし自分にそんな力があったらどうなんでしょう?
 様々な場面で、最初は面白いと思うのです。
 でも、すぐに虚しくなるはずです。
 対人関係も維持が難しいと思います。
 バラしても黙っていても、真っ当な付き合いはできない。
 好きになった人の心情が全て聞こえてしまう、これってある意味、地獄なんだと思います。

 さて本作は怪異や異能、妖怪と言った普遍的なテーマであるにも関わらず、大きく感情移入できる理由が二つありました。

 一つは、便利な「力」に対する葛藤がしっかりと描写されている事。
 もう一つは、等身大の主人公である事。
 異能を手に入れると何故だか戦いに巻き込まれるケースは多く、もちろん本作でもその流れはあります。
 ただ、胆力や体力は普通の人間です。
 包丁を持った人間だって怖いのに、その相手が妖怪だったら絶望してしまう。
 そんな当たり前の人間がきちんと描かれています。

 痛快に戦うヒーローと違い「力」に真摯に向き合って問題を解決する姿勢がとても好ましい。
 だからこそ、魅力的な仲間が彼の周りに寄り添う説得力に繋がっているのだと思います。

 物語は現在16話。
 大きな試練を乗り越えましたが、いつかは「力」を精算する時が来ると予想されます。
 そのためにも、今一度、覚(サトリ)の攻略方法を考えておきましょう。

 私の知る必勝法は「衝動」つまりカッとさせたり混乱に陥らせてしまえば良いと聞いた事があります。
 なので、読んだ相手をドン引きさせるほどの妄想力を鍛えておこうと思います。

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