第44話 組合支部(鍛冶②・商業)
ガザフと一緒に部屋へ入ると大きな作業台のような机があった。その机に素材を出してくれとガザフは言う。そこで俺は聞いて見た。
「素材として出せるのは、黒暴犬の骨・牙・爪・皮と凶化狼の角・牙・骨・爪・皮で、各々数百ずつあるけど、大丈夫か?」
俺がそう聞くとガザフは、口をパクパクとして声を発しない…… 低レベル過ぎて買取出来ないのだろうか? そう思った俺は、
「すまない、レベルが低くて買取は無理だろうか?」
と聞いてみた。するとガザフは、
「イヤイヤ、イヤイヤ、違います! 逆です! こんなにも高級素材を数百ずつなんて、ウチで全て買取るのは無理です!黒暴犬の素材が各10ずつ、凶化狼の素材が各20ずつがウチの限界です! 残りは王都の組合本部じゃないと……」
「ああ、数が多すぎたのか。それなら良かった。買取出来ないと言われたら、処分に困るところだったよ」
「とっ、取り敢えず私が言った分量で、各素材を見せていただけますか? 査定をします」
「ああ、分かった。それじゃ、ここに出すよ」
それから、俺は黒暴犬の前足部、後足部、背骨、肋骨、爪、牙、皮を各10と、凶化狼のは角も含めて各20ずつ出した。
「凄い、綺麗に処理されている! え~っと、コレなら黒暴犬の骨が背骨を別にして、各大銀貨3枚、背骨は金貨2枚、爪と牙は銀貨1枚……」
と、素材を見てガザフはブツブツ言って査定を始めた。ここでアヤカから聞いた換算を思い出す。
銅貨・・・・・100円
大銅貨・・・・1,000円
銀貨・・・・・10,000円
大銀貨・・・・50,000円
金貨・・・・・100,000円
大金貨・・・・500,000円
白金貨・・・・1,000,000円
銅貨10枚で大銅貨1枚。大銅貨10枚で銀貨1枚。銀貨5枚で大銀貨1枚。大銀貨2枚で金貨1枚。金貨5枚で大金貨1枚。大金貨2枚で白金貨1枚。になる。
ガザフが出した査定は、
銀貨60枚
大銀貨270枚
金貨60枚
円換算だと合計 ¥20,100,000-.
4人で割って1人 ¥5,025,000-.
凄い金額だ。ガザフは恐る恐る聞いてくる。
「これがウチの査定額になりますが、お売りいただけますか?」
「「「「勿論!」」」」
俺達は即座に頷いた。ガザフはホッとした様子で、
「ああ、良かったです。頑張って査定したのですが、ウチではこの金額が限界になるので。本部ではもう少し高く買取出来る筈です」
と言うので、少しビックリしながら
「この査定額でも充分なのに、本部ではまだ高く買取してくれるのか!」
と言うと、
「はい、本部がある王都では買った素材を捌く事が容易なのと、鍛冶職人も多くおりますのでこれだけの高級素材ならば高く買取します。処理状態も最高品質ですし」
と処理状態を褒めてくれた。
「買取金額はこれでよろしい様なので、お渡しするのはどうしましょうか? 宜しければ4等分も可能ですが」
と言ってくれたので、俺達は話し合い結局2等分にして貰う事にした。俺とライは各々のパートナーからお小遣いを貰う事になった。
マユは取り敢えずとして、金貨2枚と大銀貨3枚、銀貨5枚、大銅貨10枚、銅貨10枚、を俺に渡してくれた。411,000円・・・、小遣いにしては多いけど、有り難く受け取っておく。
そうして、俺達は鍛冶組合を出て隣にある商業組合支部に向かった。
商業組合支部は各カウンターが多かった。【商品】、【特許】、【融資】、などの他、飲食組合関係で【食肉買取】、【解体】、【食材買取】、【販売】などがある。俺達は【食肉買取】に並んで待った。今回は宿の
そうして、俺達の順番が来た。受付の綺麗なお姉さんが、
「本日はようこそお越し下さいました。受付を担当いたします、キャリナと申します。温泉宿の女将からお伺いしております。今回は貴重な食肉を卸していただける事、感謝申し上げます」
と、丁寧な声を掛けられた。今回はライが、
「食肉は
と言うと、キャリナさんは
「申し訳ございません。
と言って、俺達から見て左側にある階段を指し示した。
「分かりました。有り難う」
俺達は階段を降りて、言われた通りに右の部屋に入った。部屋の中は少しヒンヤリしていて、エプロンをつけたお姉さんがいた。
「食肉の買取ですかぁ~。有り難うございます~。私が係のローゼです~。早速ですが、此方へ出していただけますか~。あっ、量は
語尾が間延びした独特な話方をするローゼさんだが、仕事は出来る様子だ。ライは、
「猪系と牛系の魔獣肉で、各部位100kgずつ位ありますが、大丈夫ですか?」
と聞いている。
「凄いです~。そんなに沢山あるんですね~。勿論、全て買取させて下さい~。では、部屋の奥で出して貰えますか~。奥は寒いので、その格好では少し辛いですけど~。」
そう聞いて、ライは俺達を見て
「僕だけで行きましょうか?」
と聞いてくる。しかし、アヤカが即座に
「結界を張るから大丈夫よ。皆で行きましょう」
とライが1人で行くのを否定した。そんなに慌てなくても俺はついて行く積りだったのに…… 綺麗なお姉さんと2人切りにしたくなかったんだろうな。
「よし、皆で中を見させて貰おう」
と俺が言って中に入らせて貰った。中は大体-18度~20度にしてあるらしく、肉の長期保存と言うよりは、直ぐに飲食店に出荷する分を入れているそうだ。長期保存する場合は倉庫自体に空間収納魔法を施して、時間停止状態で保存するらしい。
「それでは、此方の机に出していただけますか~。直ぐに査定します~」
ローゼさんが震えながら言うのでアヤカを見る。すると念話で、
『ライに色目を使う女に結界なんて張りません!』
と、言う。俺は流石にそれはないだろうと思い、マユに頼んだ。
『マユ、ローゼさんに結界を張って上げてくれるか?』
『はい、アヤカは嫉妬してるんですね。』
そう言いながらマユはローゼさんに結界を張る。
「ほわ~。急に寒くなくなりました~。有り難うございます~」
ローゼさんが喜んでいる。その横でライが全ての部位を取り出した。それを見てローゼさんは、
「丁寧に処理されてます~。これなら直ぐに出荷出来ます~。査定が終わりました~。この冷凍室から出ましょう~」
と言い、一番先に出ていった。チラッと見ただけだが、査定できたのだろうか?
「はい~、この用紙を持って先程の受付に行って下さい~。よろしくお願いします~。また、よろしくお願いします~」
ローゼさんはサラサラと用紙に記入してライに渡した。それを持って俺達は受付に戻る。キャリナさんに用紙を渡すと、
「まあ、こんなに沢山! 有り難うございます! すごく助かります!」
と喜んでくれた。何でも今は村に低ランクの冒険者しか来ておらず、常駐の高ランク冒険者も1人しか居ないので、肉が不足気味だったそうだ。飲食店からは催促され、街からの輸送に頼っていたそうだが、輸送される量も少なくて困っていたらしい。
買取額は全部で白金貨6枚。充分な金額だった。そうして、俺達は組合前で別れた。アヤカとライは宿に戻り一眠りするらしい。俺とマユは村を散策してデートする事にした。
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