第59話 国之常立神《くにのとこたちのかみ》

 俺に突っ込んできた神は……


『私は国之常立神くにのとこたちのかみである。天之常立神あめのとこたちのかみとは同神格である』


 突っ込みの後に唐突に自己紹介をっこんできた。


『人の子らよ、今世の【来人らいじん】よ、私の同胞はらからが大変な迷惑を掛けた……』


 神様が謝ってるよ…… 何処かの政ji家も見習えよ!!


「初めまして、だな。クニさん」

「タモツさん、神様ですよ!」

「ハァ~、呆れて言葉も出ないわ」

「出してる」

「揚げ足取り!」

 

『ファッハッハ! 良い良い、私は細かい事は気にしないのでな』

 

「で、クニさん? アメちゃんは頼めるのかい?」


『うむ、私が責任を持って六千那由多なゆたの監獄に入れておく』


那由多なゆたって…… 永すぎて分からねぇ……」


『何、神は滅しない限りは永劫よ。コレには相応しい罰だろう』

 

 そこで、堕神がクニさんに問い掛けた。


国之常立神くにのとこたちのかみ様、先ほどのお言葉は誠でしょうか?」


『うむ、誠だ。私の権限を持ってそなたに許しを与える。しかしながら、操られておったとは言えそなたも罪を償わなければならぬ!』


「はい、わかっております」


『ならば良し。そなたは向こう二京けい年の間、人々のみならず獣、魔獣といえども慈しみ、恩恵を与えよ!!』


「畏まりました」


『ならば、思金神おもいかねのかみを連れて神界へと昇るが良い』


「はい。最後に【来人らいじん】とその伴侶に一言申し上げても宜しいでしょうか?」


『うん? 構わぬが……』


 クニさんに許しを得て堕神じゃなくなったレインは、俺とマユに言葉を掛けてきた。


貴殿方あなたがたがこの世界に来てくれたお陰で、大きな災厄を出す事なく済みました。私は私の罪を償いながらも、貴殿方二人には最上の感謝を伝えたいと思います。もう、会う事もないでしょうが末長く永久とこしえにお幸せに……」


 そう言ってレインは思金神おもいかねのかみと共に消えた。


「言うだけ言って消えたなぁ……」

「末長く永久とこしえにって……ウフッ、エヘヘ」


『さて、私からも礼をしよう。タモツとマユよ、そなたら二人にはコレを送ろう』


 そう言ってクニさんがマユに差し出したのは【御守おまもり】それも【安産・子宝・健康】の三拍子だった……


「うぉい!御守りって、一年しか効力ないよな!」


 俺がクニさんに突っ込むと、


『私がそんなケチ臭い事をするか!! その【御守おまもり】は一不可思議ふかしぎ年の効力を持たせておる! 子々孫々まで伝えてまいれ!!』


 いや、だから単位がおかしいって…… 俺の子孫ってそんなに続くのか?

 それでもマユはニコニコじゃなく、ニヤニヤ笑いで嬉しそうなので、俺は自分を納得させた。

 そして、


「クニさん、悪いがもう一つ【御守おまもり】を貰えないか? 効力は俺達にくれた物ほど長くなくても良いから……」


『うむ、そなたならそう言うだろうと思い用意しておるわ。あの二人に相応しい【御守もの】をな!! 受け取れい!』


 俺に差し出された【御守おまもり】は……【安産・子宝・健康】は同じで、付け足しがあった…… 【夫婦円満】!!


「うん、あの二人にはコレで良いな……」

「そうですね……」


 俺とマユの意見は一致した。


『効力はそなたらに渡した物よりも少し短い。一亥がい年しかないが、良いだろうか?』


「「十分だ(です)!!」」


『うむ、それでは私も彼奴あやつを連れて去るとしよう。息災にな二人とも、さらばじゃ!!』


 そうしてクニさんも居なくなった。


 俺とマユは顔を見合せて、


「終わったな!」

「終わりましたね!」

「アヤカとライはまだ王都についてないだろうから、合流して一緒に行こうか?」

「はい、でもタモツさん?」

「うん、どうした、マユ?」

「ここに家を出して一泊してから合流しませんか?」


 顔を赤らめて恥じらいながら言うマユ。オッサンがその言葉に逆らえる筈もなく、


「良し、そうしよう!! 何なら二泊でも良いぞ!」


 と、延長を申し出る。


「はい!!」


 マユの返事を聞いて嬉しくなった俺は結局三日三晩の間、マユと愛し合いアヤカとライに合流したのは王都直前にいた四日目だった……

 

 何故かアヤカにはバレていて、散々嫌味を言われた……

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