第19話 武器防具を作ろう

 拠点の目の前に帰って来た俺は呪文を唱える!


『開け~~~、ゴマ!!』

 

 本当は唱える必要はないのだが、様式美という奴だ。作った時に唱えたので、クセになったというのもあるが……


 中に入ったらマユがいた。般若の顔で……

 

 49歳のオッサンが女子高生の目の前で土下座する図が出来上がってから30分…… ようやく、般若から慈仏の顔になったマユから、


「もうこんなに連絡も無く遅くなるのは止めて下さいね。本当に何かあったのかと気が気でなかったんですから」


 と、お許しを頂いた。


「いや、本当にスマン。老人との話が思いの外長引いてなぁ。それより、良い物を貰ったから晩飯食ったら武器から作ろうか」


「はい。ご飯はもう作ってますから、食べましょう」


 うんうん、優しいや。何処に嫁に出しても恥ずかしくない。と思い優しい眼差しでマユを見てると、


「お嫁になんか行きませんからね」


 と、ジト目で言われた。超能力か!?


 その後食事をしながら狩った魔獣や古樹人エルダートレントとの話をマユにして、貰った枝と樹皮、木札を取り出した。


 枝は直径8cm長さ1m70cmが2本。そして、俺が見(検)分眼で見ると、


名称:古樹人の剛腕

特性:

 切れず、折れず、曲がらず。しなやかさを持つ。使い手の思う通りの形になる。利き手に思うだけで収納される。出す時も同じ。

【相性の良い合成素材】

 黒暴犬の大腿骨・焔火蜥蜴の皮


 何だかブッ飛んだ性能が目の前で表れている。良いのか? 腕って表示されてるけど……

 俺が呆けているとマユが、


「タモツさん、どうですか?私も見てみたいです」


 と言うので、表示を開示してやった。


「えっええーーー! コレは大丈夫なんですか? トレントさん、腕、腕~~~!?」


 叫び出した……


 その後、詳細に見分したら樹人の腕は数年に1度は生え変わりをするという事が分かった。ホッ。

 

「よし、それじゃあ相性の良い素材もあるからマユが合成してくれ。俺は合成は持ってないから」


 とマユに枝と素材を渡した。


「はっ、はい。やってみます【想像:適応合成】」

 

 素材は枝に無事に合成されたようだ。俺は合成済みの枝を受取り、心の中で収納を思った。すると右手の下腕に添って収まった様な感覚が。そこで、杖を思いながら出すと、思った通りの太さ・長さ・形の杖が出てきた。


「良し、完璧! コレは使い勝手良さそうだ」


 俺が嬉しそうに言うとマユが、


「タモツさん、私はまだ武器術を習ってないですから、習ってから使用する事にします」


 と言うので、


「武器として使わなくて良いから収納だけしてみな。慣れておくのが良いと思う。それに収納状態の下腕は恐らく防御に使用できると思う。刃物相手にでもな」


「防御にですか?」


「ああ、利き手の下腕に添って収まる感覚があるから受けに利用できると思う。検証は必要だけどな」


「はい。分かりました。『収納』」


 マユはそう言うと収納してみる。


「あっ、本当ですね。下腕に添って収まった様な感覚があります」


「だろ。その感覚に慣れておくのも大事だから、収納しておいてくれ。それに明日から棒術の訓練もする予定だから」


 と俺は歩方、無手術に続いて棒術も行う事をマユに伝えた。


「はい。頑張ります」


 マユは気合いの入った顔で返事をしてくれた。


「さてと、もう1つの樹皮はどんなのかな?」


名称:古樹人の堅皮

特徴:

 真竜のブレスにも耐える皮。神器と呼ばれる 剣でも切るのは難しい。また、打突の衝撃を 完全に殺し本体を守る。軽い。

【相性の良い合成素材】

 八毒大蛇の皮・剣牙猪の牙


 これまた、ビックリな性能だ。マユにも開示して見せる。


「うわ~、凄いですね!ラノベだと初期で手に入る性能じゃないですよ!」


 と、喜んでいる。


 俺は取り敢えず樹皮を胸当て、籠手、臑当、腰当に【加工】してからマユに素材と一緒に渡した。


「マユ、籠手と臑当に剣牙猪の牙を、胸当て、腰当に八毒大蛇の皮を合成してくれ」


「はい。【想像:適応合成】」


 マユが合成してくれた物を服の上からお互いに装着してみた。すると、


「アレ?」「えっ?」


 確かに装着したし、其処にあるのは分かるのだが目に見えない……


「なっ何じゃぁコリャーーー!?」


 と俺は籠手の部分を触って確かめる。


「コッココ、ココにあるのは分かるんですけど、何で見えないんですか?」


 うん、マユ胸元を撫でながら言うのは止めようかな? オッサンには刺激が強すぎる……

 

 その後またまた詳細に見分してみると、隠れ特性として身に付けると見えなくなると出た。何ともデタラメな特性だ。しかし、これで相手が油断してくれるのも確かなので良しと2人で喜んだ。


 これで、武器防具は取り敢えず揃った。トンでも性能だけどコレで安心だ。後はマユの位階をガンガン上げて、お隣の国へと旅立とう。ノンビリ暮らせる場所を求めて……

 

 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る