第54話 俺の年齢って……
皆が驚愕から覚めた。そして、
「タモツさん、嘘ですよね? 父さんより年上なんて!」(カオリ)
「
「そんな、私と同年代かと……
「あらあらあら~。人族の年齢って確かに分かりにくいけど、まさか、ね~!?」(ロザリア)
「年上? あの見た目で? 何故だっ! どんな魔術を使ってやがるっ!! 『俺にも教えて』」(タカト)
「なあ、マユ」
「はい? タモツさん」
「俺の年齢っておかしいのかな?」
「そんな事ないですよ。ただ、今の見た目は来た時よりも確実に20は若返ってます」
それは贔屓の引き倒しが過ぎると思うぞ、マユ。可愛いから許すが……
「えーっと、何か誤解があるようだけど俺は本当に49歳だよ。だから、カオリの婚約者として名前を貸すのは止めた方が良いと思うんだけど……」
俺がそう言うと、カオリが聞いてくる。
「タモツさんが49歳だと他に知ってる方はどれだけ居ますか?」
「マユ以外だとアヤカとライ位かな? 多分」
「それなら、タモツさんの年齢は非公開にします。見た目で言えば母と同年代ですので、大丈夫です」
「あの~、本当に49歳ですか?」
タカトが丁寧語になって俺に尋ねる。
「うん? 49歳だぞ。それより話し方が変わったけど、さっきと同じようにタメ口で良いぞ」
「いえ、家訓で年長者には丁寧語で受け答えをしろとありますので、これでお願いします。そして、1つご相談がありまして、若さの秘訣を教えていただけたら……」
「秘訣も何も俺は分からないなぁ…… 気付いたらこうなってたから。まさか、そんなに若く見えるとは思わなかったけど」
「いやいや、
「私? 17歳ですよ、ガリガリさん」
「ソレだっ!! 若い女性とクンズホグレツをしている
まあ、ガリガリさんの言う事にも一理あるか。俺はマユに相応しい男にみられる様に日々【想像】して居たからなぁ……
「で、マユさん。許可を貰えますか?」
ここで唐突にカオリが本題に話を戻す。マユは少し考えて、
「カオリちゃん、タモツさんを婚約者として発表して、表に出なくて良い様にこの場所を提供してくれるのよね?」
「はい、ここは私の管轄地になりますから高位貴族といえども許可なく入る事は出来ません。それに、村人にも周知徹底しますのでタモツさんとマユさんにご迷惑はかけないつもりです」
「カオリちゃん、10歳でしょ。大人過ぎるよ。でもね、1つ言わせて。迷惑はかけないって言うけど名前を貸す事が迷惑になる。って思う人も居るよ」
「あっ! はい、そうですよね…… スミマセン、私の側の都合ばかりを押し付けて…… この話は無かった事に、して……」
「カオリ、マユが言った事を思い出してごらん? マユはこう言ったんだ。(思う人も居るよ)って。言い方を変えると、マユは迷惑には思ってないって事だよ。勿論、俺もな」
俺がそう言ってマユと二人でカオリに笑いかけると、カオリは泣き顔になり、
「うっ、うわーん。ごめんなさい。我が儘言って……」
と泣き出した。俺とマユはカオリの横に行き、頭を撫でてやりながら、
「辛かったなぁ。でも大丈夫だ。俺とマユが助けてやるから、もう泣くな。可愛い顔が台無しだぞ」
「ゴメンね、カオリちゃん。いっぱい悩んで今回の申し出をしたんでしょう? さっきの私の言葉はここに居るカオリちゃん以外の大人に向けて言ったのよ。だから泣かないで」
マユの言葉を聞いた大人達は……
「陛下、申し訳ありません。本来なら私がタモツさんとマユさんにお願い申し上げるべきでした」
「「カオリ、ゴメンね(な)」」
「陛下、申し訳ありません。近衛という立場は常に陛下のお心に寄り添わなければならぬ立場。で、ありながら私は陛下のお心を知ることも出来ませんでした! そして、それにより
「「脱ぐな!!」」
いつもの俺達とガリガリさんとのやり取りにやっと笑顔を見せたカオリ。
そして俺から質問をした。
「ダルイ公爵は派閥を持ってるのか? その規模は?」
答える
「ダルドはランゲインでは少数派閥で、下に自分の妹が嫁に行った子爵がいるだけよ。但し、この公爵領と子爵領は隣り合っていて、戦争となるとかなり厄介な相手になるわ。何故なら、公爵領に入るには子爵領からしか入れないの。道が細くて大軍では通れないし……」
「ふむ、分かった。で、カオリはどうしたい?ダルイとその子爵を滅ぼしたいのか? 俺の推測だけどカオリにかかっていた呪いはダルイに命令されたその子爵がやったんだと思うぞ」
「えっ、タモツさん、そう推測した根拠はあるんですか?」
聞かれた俺は目の前にある壁に掛かった地図を指差して、
「あそこがその子爵領でその後ろがダルイの領なんだろ? 呪いがアヤカの力で祓われた時に呪者に跳ね返っていったが、ちょうどその方角に真っ直ぐだったからな。ダルイは性格上、危ない事は自分ではやらないだろ?」
「はい…… ただ信じて欲しいのですが、ダルド公爵はあんな方では無かったんです。突然、ガラッと変わってしまって、私も戸惑っています。私が女王になった頃のダルド公爵に戻ってくれたら…… と思っています」
「それじゃ、俺とマユとアヤカとライに任せてくれるか? 上手く行ったらその場所を見せて貰って気に入ったら成功報酬として貰う。って事でどうだ?」
「でも、危険です。ダルド公爵が突然変わった様にタモツさん達が突然変わってしまったら……」
カオリが再び泣きそうな顔でそう言うが、俺は
「大丈夫だよ、カオリ。俺達に任せろ! 原因を突き止めて解決してやるよ。安心して待ってな」
と笑顔で言った。
「はい、分かりました。お任せします。よろしくお願いします」
カオリが頭を下げると同時に皆が
「「「「よろしくお願いします」」」」
頭を下げた。
「マユ、とりあえずアヤカとライに合流しようか?」
「はい、タモツさん。それじゃ今回は私が転移を使いますね」
「ああ、頼む。それじゃカオリ、行ってくる。2~3日もあれば終わるから、王都で待っててくれ」
そう言ってマユの転移でアヤカとライの元へと跳んだ。
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