第32話 ガルバ死す!!

 俺達4人が訓練場に入ると、


「オーっホッホッホッ! やって来ましたわね。愚かな人達が。ここで死ぬとは知らずに。お可哀想に」


「ふむ、待ち草臥くたびれたわい。年寄の時間は貴重なんじゃから、もっと早くやってこんかい」


 と、身勝手な事をほざく2人がいた。


「お~い、笑わすな。爺さん、お前が年寄なのは事実だが、お前の時間が貴重な訳がないだろ」


「ガルバ、貴方がライにした事を償ってもらうわ!」


 俺とアヤカがそう言うと、レインが


「私があてがった男娼とのご成婚、おめでとうですわ、勇者アヤカ。さぞかし、ライのアレが良いんでしょうね。毎晩毎晩、励んでいらしたから。オホホホホッ!」


「姫、言うてやりますな。所詮は猿が少し知恵を持った程度の異世界人。セッ○スを知って盛ってしまったのでしょう。グハハハ」


 俺は2人の言葉を聞いてから、


「鬱陶しい、お前は消えろ。古武術:流水・対妖怪秘技【恒滅魔】!」


「なっ! なんじゃっ! グアッ!グワァラゲバオゲッ!!!!」


「なっ! ガルバ!!! 何をしたんですの! ゴミカスの分際で!」


 レインが消えたガルバを見て俺に言う。


「滅したんだよ、堕神の眷属を。鬱陶しいから。ついでに腹黒姫さんよ、いや、あんたは既にあの時の姫さんじゃねえな。ひょっとして、堕神自身か?」


 俺がそう言うと、マユとアヤカが身構えてライが結界を張りながら後ろに下がる。


「どういう事ですか?タモツさん」


「マユ、初めて会った時の姫さんの気配があの身体からは感じられない。違う気配、ガルバの爺さんの何千倍もの邪な気配が感じられるんだ。巧妙に隠してあるがな」


 俺の言葉を聞いて、レインの姿をした存在は


「クフフ、我に気づくか。異世界からの客人まろうどよ。さすがは創造神に匹敵する力の持ち主よ。しかし、ここで提案しようではないか。我に手を出さずに去れば、我もそなたらには手を出すまい。我の目的は創造神への復讐であってそなたらを消す事ではないのでな。どうだ、我が提案に乗るか?」


「イヤイヤ、イヤイヤ、そりゃあ無理ってもんだ。俺はこの世界を平穏無事に過ごして生きたいって思っている。それなのに、お前みたいなのが居たら俺の生活が乱されてしまうからな。創造神とやらと何があったのか知らないけど、そのトバッチリを人に飛ばすのは止めてもらおうか」


「ふむ、ならばこうしよう……」


 その言葉に俺も身構えたが、突然


「さらばじゃ」


 の言葉を残しレインが消えた。


『我もまだ完全ではないのでな。リスクがあるのにそなたらとは戦えん。我が完全になるまで暫くは待って貰おうか。クハハハハッ!』


「だあ~、しまった、逃げられた!」


「タモツさん、追いかけますか?」


「マユ、気配が完全にないから異空間に逃げこんでるようだ。追いかけるのは無理だな」


「そうですか…… タモツさんなら勝てましたか?」


「ああ、今なら楽勝だったんだけどな。まあ、完全体になっても勝てるけど」


 アヤカが、


「アレにあっさり勝てるって言えるのが凄いわね。一体、どうなってるの?」


「うん? お前もスキルで持ってるだろ? Lvは低いけど、【想像】を。その【想像】を鍛え上げたらすぐだぞ。それは、異世界人の俺達だけじゃなくて、この世界の人でも一緒だと思う」


「それじゃあ、ライも強くなれる訳? 本当に?」


「ああ、なれるぞ。【想像】に限界はないからな。一緒にこの世界を旅するなら鍛えてやるぞ。序に」


「少し考えさせて…… 分かった。一緒に行くわ」


「早っ! まあ良いけど。俺とマユは当初の予定通りにこの後はカイゼルに顔出しして、ランゲインに向かう。ランゲインを見て気に入ったら拠点を構えてから他の国にも行こうと考えてるから。それで良いか?」


「分かったわ。ライと一緒についていく」


 アヤカの後ろでライが頷いてるので、


「マユもそれで良いか?」


 マユにも確認する。


「はい。よろしくね。アヤカ、ライさん」


 そうして、4人で旅をすることが決まった。


「それじゃあ、カイゼルの処に行くか。おっと、その前に知り合いの騎士に会いに行こう。彼もカイゼルの処に一緒に行ってもらうから」


「サーバイン卿ですね」


 と、マユが言う。


「そうだ。カイゼルとサーバイン卿にはこの領都をまとめてもらわないとな。人々の生活がこれまで通りに出来るように」


「はい。そうですね」


 という訳で、先ずはサーバインを探す事にした。





 

 

 

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