第15話 盗聴者達は……

 盗聴しているのは勿論王女レインとお付きの爺であるガルバである。2人は机の上にある3つの魔方陣から聞こえる声に呆れていた。


「何なのですの。今回の異世界人は・・・。ハレンチな人間しかいないのですの?」


「まったくもって、呆れた者達ですな・・・。ここまであからさまな者達は初めてでございますな」


「まあ、コレを狙ってはいたのですから良いと言えば良いのですが。しかし、タツヤはヒドイですわね。嫌がるカミナを力ずくでなんて」


「まったくでございますな。あれでカミナは侯爵令嬢ですが、よろしかったのですかな? 姫? 『こちらとしては思惑通りだな。これでカミナの憎悪が高くなれば利用出来る。』」


「良いも何も、こうなる事は想定の範囲内ですわ。爺、カミナは昔から私を馬鹿にして見下してましたから、良い気味でもありますの。ヲホホホッ!」


「左様でございましたなぁ。姫。『大親友だったが、偽の記憶を植え付けたのでな。コレでこの姫も破滅に向かっていく。』」


「あの変なオジサンとやつれた女も無事に魔跋扈の渓谷へ送り込めましたし、勇者達には計画通りに明日からレベル上げに入って貰いましょう」


「姫、先ずは騎士団にてタツヤを。魔法士団にてミドリとアヤカを鍛えます。レベルが5に上がれば、南の森で魔獣相手にレベリング。レベル15で森の奥の迷宮にてレベル20~25まで鍛えましょう。その後は、北の蛮族共を先ずは殲滅して貰いましょう。魔跋扈の渓谷へはレベル50で挑ませましょうぞ」


「そうね。爺の言う通りに計画を立てて行きましょう。上手く行けばランゲインの魔族達を殲滅出来るわね」


「左様でございますぞ、姫。ランゲインの者共はあの堕神の封印を解こうと動いておりますからな。このままでは奴らの思う通りに人族が死に絶えてしまいます! 『本当は奴らが封印を護っているから、堕神様が復活出来ないのだがな。しかし、思惑通りに進めば後少しで堕神様の封印を解く事が出来そうだな。クククッ。』」


 爺の思惑通りに事は進んでいるようだ・・・。




 その頃、天上界と人々に言われる場所で、

A:「また、やってくれたようだ。ハイレッカの王女が」


B:「勇者召喚を行ったようですね」


C:「ここ数年、立て続けですわ。何故同じ人族を敵視するのでしょうか?」


D:「推論ではあるが、悪魔達が関わっているのではないか?堕神の復活が近いのかも知れぬ」


E:「創造神様は未だに眠りにつかれておる。このタイミングで堕神が復活すると地上はどうなる」


A:「恐らく人族は死に絶えるな」


C:「それ故か、今回の召喚では今までにない強力な勇者達が召喚されていようだ」


D:「大魔導、勇者を超えし者、神の癒し手、か……」


B:「我らは干渉出来ぬ故に勇者達に頑張って貰うしかないが、大丈夫なのか?あのような者達で?」


E:「其よりも、我は巻き込まれたと見られる2人の方が気になるのだが…… 追放されたとされる場所で、創造神様に匹敵するような力を一度感じたゆえに……」


A,B,C,D:「おお、確かに我らも感じた!」


E:「あの力は何だったのか? あの場所は堕神の気が満ちておるゆえに、我らでも見通す事が出来ぬ」


C:「むう、暫くはまた、様子見するしかないな」


B:「そうですね。ハイレッカの王女にも注視しながら様子見しましょう」


A:「創造神様が目覚めた時に嘆き悲しまれる事がないように、我らで打てる手は打たねばな」


 神と言えど、全知全能ではないようだ……

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