第6話 麻優の心中・・・

 ここは何処なんだろう?光ったと思ったら見た事のない場所にいたけど。顔を上げると助けようとしてくれたおじさんと目が合った。おじさんはこっちに近付いてきて、


「大丈夫かな?……」


 と私を心配そうな顔で見ながら優しく聞いてきた。私は意識もはっきりしてたし、体は元からこんなだけど動くのには支障が無さそうだから、 


「大丈夫です……」


 と返事をした。おじさんは暫く私の顔を見ていたけど、王女と言っていた女性が水晶玉を出した後から目線を少し上の中空に向けて、何やら考え込んでいるみたいだった。そして、唐突にここから逃げるけど一緒に来るか? と聞いてきた。

 私は足手纏いになると一度は断ったけど、おじさんは私位なら守ってやると言ってくれた。何だか亡くなった父が言ってくれたようで一緒に行くと返事をしてしまった。その後のおじさんの『よし、任せておけ』にはちょっと胸が熱くなっちゃった。

 話が進んでいじめッ子3人の後に私とおじさんも水晶に手を置いてステータス? を見る事になった。おじさんのを見た時には任せて大丈夫なのかな? と心配になったけど、おじさんは自信がありそうなので信用する事にした。私の数値もおじさんと変わらない位に悪かったし。


 どうやら私達は元の地球には帰れないらしい。それを聞いた時に私は、『ああ、あの地獄のような場所に帰らずに済む』と心から安堵した。

 けど、どうもあの王女には役立たず認定されたようで、私とおじさんは国外追放されるようだ。王女に命令された騎士さんにおじさんとついていくと、とんでもない場所を通らないと隣国には行けないらしい。ただ、それを聞いてもおじさんの自信は揺るがなかった。だから、私はおじさん、保さんについていく。ダメでも保さんを恨んだりはしない。


 だって、見て見ぬふりをする大人ばかりの中で、私を助けようとしてくれたんだから。そして、今から出発だ。馬車の中で保さんに聞かれたら何でも正直にこたえよう。今から保さんに助けられながら隣国を目指すんだから。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る