第26話 懸念……

 タモツは悩んでいた。アヤカの状態に。何故ならば、呪いを受けているからだ。しかし、神殿に住んで豊穣神の加護もついてるアヤカが呪いに気付いてないのは何故なのか? 神殿にいる人々も気付かないのか? そもそも、いつから呪いを受けているのか? 分からない事ばかりだ。しかし、呪い位は祓ってやる事が出来る。まだ最悪の事態には至ってないようなので、このまま少し様子を見る事にしたのだった……



 名前 アヤカ

 :称号 導く者・探索者・(改心者)

 :加護 豊穣神

 :職業 神の癒し手・(優気ある者)

 :レベル 18(23)

 :経験値 19,780/22,000(32,122/38,000)

 :HP 4,680/4,680(6,875/3,500)

 :MP 7,800/7,800(10,800/5,050)

 :武器 聖泉杖+580(-1,290)

 :防具 聖癒服+790(-1,395)

 :物攻3,100(5,875-1,290):物防4,080(6,975-1,395)

 :魔攻2,100(3,685-1,290):魔防5,700(7,968-1,395)

 :スキル 全回復魔法Lv.8/10

      全防御魔法Lv.6/10

      身体強化魔法Lv.7/8

御神法Lv.5/10

      想像力Lv.2/5

 状態:【異常】

 気付かずに、呪詛を受けている。最近、魔法が上手くいかなかったりするのは体調が悪い所為だと考えている。このまま呪いを受け続けていると死に至る。




 元侯爵に招かれて一軒家に入ろうとしているマユやアヤカ、神官に紛れてタモツも中に入った。


『【隠密】様々だな。誰も気付いてない』


 マユやアヤカも気付いてないのだから、素晴らしい能力だ。


『さて、ご令嬢とご対面だがマユは大丈夫かな?』


「カミナ、アヤカ様が又いらしてくれたよ」


 父親からそう聞いたカミナがうつ向けていた顔を上げてうっすらと微笑んだ。それを見たアヤカが、


「カミナさん、こんにちは。お加減はどうかしら?」


 と声をかけた。しかし、その横でマユはいきなり【結界】をカミナとアヤカに個別にかけた。他の神官と元侯爵にもだ。そして、カミナに向かって、


「あなたは誰!? カミナさんの体を奪い、何をしようとしているの!?」


 と激しく言った。結界に捕らわれたカミナは、オロオロと周りを見回しアヤカに視線を戻し助けて欲しいというような眼差しを向ける。アヤカは突然の事に呆けていたが、ハッとしてマユに、


「麻優、いきなりどうしたの? カミナさんを結界から出してあげて」


 と言うが、マユは首を横に振り、アヤカに向けて語り出す。


「アヤカ、騙されちゃダメよ。目の前にいるのは体は確かにカミナさんだけれど心は違うわ。悪しき者がカミナさんの体を乗っ取っているわ。アヤカも心気を凝らして見てみなさい。貴女なら分かる筈よ!」


「マッ、マユ!本当なの、それは! いえ、確かめてみるわ、『神の御名みなの元にその姿を現せ、邪悪なる者よ!』【邪心見分】!!」


 アヤカの魔法により、結界の中のカミナが表情を歪めそして、


「グッググッ!後少しでその勇者を葬る事が出来たと言うのに、とんだ邪魔が入ったものよ……」


 と、老人の声で喋り出した。


「きっ、貴様は誰だ!! 娘はどうなったんだ!」


 父として元侯爵が叫ぶと、


「ゲヘヘ、侯爵よ。いや元侯爵か、まあどちらでも良い。貴様の娘なら心を閉ざして奥底で暗黒に身を委ねようとしておるわ。だから、ワシがこの体を使ってさらに暗黒へと向かう様にしてやっておるのよ」


 と老人声でカミナが答える。


 「そんなことはさせません!」


 とアヤカが答えるが、


「勇者よ。貴様は後少しで何もできなくなるのだ。我が呪詛に気付きもせずにいたおかげでな!」


「そんなハッタリは私には効かないわよ」


 アヤカが強気で言うが、カミナは


「ならば、その結界から出てきてワシを見事に倒してみよ。グフフフフ」


 と挑発してきた。


「望むところよ!」


 アヤカがマユの結界から出ようとした時にマユが、


「アヤカ、待って! 結界からは出ないで! そして、残念だけど貴女だけでは無理だわ。私も一緒に戦うわ」


 と告げる。


「マユ、どういう事? 貴女が戦えると言うの? 私が負けるとでも?」


 マユの言葉はアヤカのプライドを刺激したらしい…… しかし、マユは怯まずに言葉を続けた。


「アヤカ、冷静になって。先ず相手の力量が分からない。どんな攻撃をしてくるかも分からないなら結界から出るのは得策じゃないわ。そして、奴はカミナさんの体を乗っ取っているのよ。今は私の結界に閉じ込めているけれど、カミナさんを傷つけずに奴を倒すか、カミナさんから追い出す事を優先しなきゃ」


 その間、カミナの体を乗っ取った奴はカミナの顔でニヤニヤとマユとアヤカを見ていた。そして、


「相談は終わったかの? ワシはどちらでも良いぞ。勇者が1人で向かって来ようが、お前さんと2人がかりで来ようが。そして、勘違いしておるようじゃから言っておくぞ。2人でも足りぬわ!更にこの程度の結界なぞ何時でも破れるわ!! んっ!!」


 その声と共にマユが奴にはった結界が破られた。


「アヤカ、聖気をカミナさんに! 私もやるわ!」


「ッ! マユ、分かったわ! 行くわよ!【天聖】!」


「【誠心聖天】!」


 2人の聖気がカミナに届く。が、


「グフフフフ、緩いわ! ホレっ!」


 奴の一声でアヤカとマユの結界は破れ、2人共に無防備になった……


「さて、先ずは勇者からじゃの。我が呪詛を完成させてやるわ! 死ねい! 勇者よ!」


 カミナから黒い波動がアヤカに真っ直ぐにむかった。そこに神官見習いのライがアヤカに並び、


「くっ!【 聖結界】! アヤカ!」


「ライ! 【最聖界】!」


「アヤカ! 【結界】!」


 ライ、アヤカ、マユの3重の結界に黒い波動が向かい、全ての結界を破壊してアヤカに向かった……


「ダメ! ライ、逃げて!」


「ダメだ! アヤカーッ!」


 ライがアヤカに覆い被さり、波動に背を向ける。

 その時にマユが波動と2人の間に飛び込んだ!波動がマユに当たる!?


「いやーーー! マユーーッ!!」


 アヤカが叫ぶが、波動はマユを飲み込んだ……


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