第25話 実際の勇者達は③
「アヤカ…… さん。久しぶりです。こんな所で会うとは思ってませんでした」
マユは思考をフル回転させていた。しかし、それより先に、
「麻優、あなたはどうしてここに?」
とアヤカに聞かれた。
元々、マユにイチャモンをつけてきてたのは、タツヤとミドリでアヤカは何故かタモツに助けられた時に2人についてきていた。何故なのかはマユにも分からないし、理由を知ろうとも思わないが。
「私はタツヤに心を壊された方が此方に居ると聞いたので、その心を少しでも癒せたらと思いました」
マユが目的を正直に告げると、アヤカが
「麻優、あなた精神を癒す魔法を使えるの!?」
とマユに掴みかかってきた。
「えっええ。効果があるか分かりませんが、少しでも力になれたらと思い……」
答えながらマユはアヤカを【鑑定】してみた。
:名前 アヤカ
:称号 導く者・探索者
:職業 神の癒し手
:レベル 18
:経験値 19,780/22,000
:HP 4,680/4,680
:MP 7,800/7,800
:武器 聖泉杖+580
:防具 聖癒服+790
:物攻 3,100 :物防 4,080
:魔攻 2,100 :魔防 5,700
:スキル 全回復魔法Lv.8/10
全防御魔法Lv.6/10
身体強化魔法Lv.7/8
御神法Lv.5/10
:状態 良好
『えっ? 聞いたレベルより高い。それに、聖なる気を感じるわ。どういう事? 分からない……』
マユが【鑑定】の結果にビックリしていたらアヤカが、
「麻優、鑑定も使えるのね。で、どうだったかしら今の私は? 私的には竜也や翠よりは勇者として相応しい行動をこれまで取ってきたつもりだけど」
「そう、そうね。アヤカさん。
マユがそう言うと、
「そうね。あの頃の事は謝るわ。私は麻優にひどい態度を取っていたからね。でも、此方で力に目覚めた時から徐々に私は変わってきたの。守るべき人が出来たのも大きいかしら」
とアヤカは言って後ろの神官の1人に声を掛けた。
「ライ、
声を掛けられた神官は、
「ああ、分かったよ。アヤカ」
と2人に近付いた。その人物はアヤカの世話人としてついたライその人だった。
「初めまして。マユさん。僕はアヤカの主人で神官見習いのライと言います。元々、城でアヤカの世話を王女に仰せつかっていたのですが、どうも王女とガルバ(爺)に騙されたようで、危機一髪だった所をアヤカに助けられたんです。そして、アヤカも憎からず僕を好いてくれていたので、神殿で結婚しました」
と、聞いてもないのに惚気混じりに語ってくれた。
「あっはい。初めまして。私はアヤカさんと同郷ですが、王女により追放された者です」
「お話はアヤカから聞いてます。確か、貴女と一緒に追放された方もいたとか…… その方は?」
とライが聞いてきた。
「今は別行動をしています」
と、ここでもマユは正直に答えた。
「麻優、
アヤカにそう聞かれたマユは、
「出来るかどうかは分からないわ。でももし、私がダメでもタモツさんなら大丈夫だと思う」
と素直に答えた。何故か今のアヤカは信用して良いという印象だった。
2人がそうして話をしているのを実はタモツは聞いていた。既に現場に到着して、アヤカを【見(検)分眼】していた。少しいや、かなり凄い事になっていた。マユの【鑑定】では見えなかった事がタモツには見えていた……
『う~ん、どうする? もう少し様子を見るか』
タモツは自分が出るタイミングを図っていた。
そのときに家の扉が中から開き、元侯爵が出てきた。
「ああ、アヤカ様。また来て頂けたのですか? 有り難うございます。娘も少しだけですが笑顔を見せてくれるようになったのは貴女のお陰です」
と言った後にマユに気づき、
「
とアヤカに聞く。
「此方は私よりも精神を癒すのに長けた同郷の者です。侯爵閣下が宜しければ、カミナ様の状態を見て貰おうかと来てもらいました。勿論、竜也や翠とは一切関係ありません。それは私が保証します」
と、アヤカはさも自分が連れてきたように流暢にウソをついた。が、マユにとってもその方が都合が良いので、
「侯爵閣下、お嬢様のお心を少しでも癒せたらと思い、アヤカさんに言われてやって来ました。宜しければ、私とお嬢様を会わせて頂けませんか?」
とアヤカに合わせて元侯爵に聞いてみた。
「お二人とも、私は既に侯爵ではありません。爵位は返上しました。ですので庶民ですな。しかしながら、お二人のお申し出はとても有難いです。是非とも娘に会ってやって下さい。そして、出来うるなら娘の心の闇を少しでも癒してやって下さい。どうか、宜しくお願い致します」
と、元侯爵は深々と頭を下げた……
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