第17話 其々の午後・・・

マユ……


 昼食も終わりタモツが出て行った後、マユは訓練場に向かった。そこで、足型を前にしてから徐に歩方を始める。

 歩方が終わると無手術へ、そしてまた歩方へと繰り返し繰り返し幾度も続けて行う。


『私はまだ弱い。弱いからタモツさんは連れて行ってくれない。強くなるには基本から。だから、教わった基本を確実に自分の体に叩き込む!』


 もともと生真面目な性格のマユは一心不乱に基本に打ち込むのだった・・・。

 

 マユの能力値(新)


 名前:マユ  職能:女子高生

 位階:4級  経験:20,283

 心:6,017 技:4,822 体:2,935 魔:5,627

 武器:軽杖(+18)    攻撃力:4,238

 防具:丈夫な服(+5)  防御力:5,214

 技能:想像   状態:良好


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タモツ……


 タモツは外に出てきて先ず考えた…… この辺の魔獣ってどんな感じで、俺の力はどれくらいなんだろう……


「まっ、分からん事は考えてもしょうがないか。取り敢えず、技能は使わずに普通に索敵してみるか」


 タモツは半眼になり周りの気配を感じとろうとする。すると……


「お~、いるな。100m先位に2体か・・・。近づいて見るか」


 そう言うと自分の気配を殺して魔獣と思われる気配に近づいていった。 


「おっ犬? 狼? どっちかと言うと犬かな? 分からねぇ…… 技能を使うか【想像:見(検)分眼】」


魔獣:黒暴犬 理性:無し 食性:肉食

意志疎通:不可 推奨レベル(位階):45(3級)

素材:毛皮(中級品)・牙(中級品)・骨(高級品)

【解説】

 堕神の眷族になった黒犬。食べ過ぎた際の胃もたれ解消にミスリル鉱石の欠片を食べて胃に入れる。排出されるが、胃に2時間程入れている間にミスリル成分が溶け、骨に含まれていく。魔力の通りが良くなるので無意識に身体強化を使用している。

 

『うおっ! 便利だな! コレ【見(検)分眼】!』


 初めて使用した【見(検)分眼】がかなり使い勝手が良さそうだ。但し、狩りは自分が本来持ってる能力を使用してみるかとタモツは考えた。 


「流水の対獣を試すか。日本向こうじゃ使った事がないしな。無手で行ってみよう」


 そう言うとタモツは黒暴犬の背後に音も無く降り立つ。そして右手を1体の頭に当てる。その時点でやっと黒暴犬が気付いたが、その瞬間に目、鼻、口から血を吹き出し絶命していた。もう1体は仲間が殺られた瞬間に本能でタモツに向かって前足を振るう。


「遅い!」


 タモツは振るわれた前足を半歩右にずれる事により躱し、左足をヒョイっと黒暴犬の腹に向かって上げた。それだけで黒暴犬がギャンッという悲鳴を上げて3m程垂直に飛ぶ。地面に落ちた時にはこちらも絶命していた……


「やべー。対獣。気を通して打つだけで絶命って…… そこまで大きな気は込めなかったんだけどな。こりゃあ、何回か繰り返して加減を調べないとダメだな」


 そんな事を頭を掻きながら言う。


「取り敢えず、解体するか【想像:解体】」


 すると倒した黒暴犬2体が持ち上がり、開いた口から血が出始める。そのまま、毛皮、牙、爪、肉、骨に自動的に解体されていく。


「う~ん、コレは俺は大丈夫だけど、マユはいけるかなぁ? まあ、慣れて貰うか。さて、肉と爪と頭骨や細かい骨は必要ないから燃やすか【想像:焼滅】」


 そうしていらない部位を消し炭にしてから、持って帰る部位を【想像:生活箱】に収納する。


「さて、時間はまだまだあるな。もう少し奥にも行ってみて、技能を使わず流水だけでどこまで戦えるか検証しよう」


 そう言ってタモツは渓谷の奥に向かって進みだした……


 タモツの能力値(新)


 名前:タモツ  職能:古武術家

 位階:九段  経験:202,228

 心:49,236 技:59,263 体:50,841 魔:38,321

 武器:軽杖(+18)  攻撃力:86,523

 防具:丈夫な服(+5)  防御力:59,372

 技能:想像   状態:良好


 

 


 

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