第3話 オッサンは不思議な力を使った。
さてと、先ずは彼奴らの様子をもう少し見ておこう。ん、何か水晶玉らしきものが出てきたな。
「さあ、勇者様。此方の水晶に利き手をお乗せ下さい。そうすれば、勇者様の素晴らしい力が彼方の壁に写し出されます」
レイン姫がそう言うと、ミドリが
「私が1番乗り~」
と言いながら左手を水晶に乗せた。
意外だな、左利きかよ。ん? 何も出ないぞ。
「ミドリ様、普段文字をお書きになるのは左手ですか?」
レイン姫が聞くと、
「え~、レイッチ。右手に決まってんじゃ~ん」
うん、安定の馬鹿だな。利き手の意味を知らないって…… 良く山海高校に合格したな。
「ッ、コホン。では、ミドリ様。右手を水晶にお乗せ下さいませ」
「あ~、利き手ってそういう意味だったのね~。レイッチ、はっきり言ってよね~」
馬鹿が右手を水晶に乗せた瞬間に壁に色々な項目が表示された。
:名前 赤橋 翠(あかはし みどり)
:職業 大魔導
:レベル 1
:経験値 0/100
:HP 95/95
:MP 230/230
:武器 無し0
:防具 無し0
:物攻 50 :物防 48
:魔攻 180 :魔防 150
:スキル 全攻撃魔法Lv.1/10
物理防御魔法Lv.1/5
魔法防御魔法Lv.1/8
身体強化魔法Lv.1/5
壁に写し出された項目を見た王国のお歴々は
「おおーっ!大魔導! 100年振りに我が国に!」
などと感嘆している。
俺はマユと俺の能力をこの世界の表示で自分の脳内に出して此のままだと不味いと考えていた。そして、序に手を置いてみろと言われるのは分かっているので、表示を
色々と細工をしていると、タツヤが
「次は俺様の番だぜっ! 度肝を抜いてやる!」
と水晶に手を置いた。
:名前 芳賀島 竜也(はがしま たつや)
:職業 勇者を超えし者
:レベル 1
:経験値 0/50
:HP 350/350
:MP 120/120
:武器 無し0
:防具 無し0
:物攻 130 :物防 100
:魔攻 80 :魔防 90
:スキル 全勇者固有魔法Lv.1/10
回復魔法Lv.1/5
タツヤの能力を見たお歴々は、
「なっ、何とっ! 勇者を超えし者とはっ! 500年前に記録があるが、現在では存在しない職業だと認識されている……」
ザワザワとした空気の中で、アヤカが落ち着き払って水晶に手を乗せた。
:名前 桜花 綾香(おうか あやか)
:職業 神の癒し手
:レベル 1
:経験値 0/20
:HP 120/120
:MP 500/500
:武器 無し0
:防具 無し0
:物攻 100 :物防 100
:魔攻 100 :魔防 100
:スキル 全回復魔法Lv.3/10
全防御魔法Lv.1/10
身体強化魔法Lv.1/8
「フッこんなものかしらね」
アヤカの呟きが響く。レイン姫が、
「かっ、神の癒し手。完璧だわ。この3人がレベルを上げて乗り込めば魔族も
小声で彼奴らに聞こえない様に言ってるが、俺には丸聞こえで~す。
そこで思い出した様に俺とマユの方を見て、
「期待はしてませんが、あなた方2人も水晶で能力値を確認させて下さいませ」
と言ってきた。
「断るっていう選択肢は…… 無さそうだな」
俺が言うと、
「勇者様方のお役に立ちそうならば、城下で鍛えて差し上げますわ。駄目なら国外追放ですわね」
レイン姫が勇者達に見えない角度から俺に鋭い目を向けてきた。
「まあ、追放ならまだ生きれる可能性もあるか。分かったよ」
俺は水晶に手を置いた。
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