第25話 探索と探検

志麻ちゃんからシシウリ様の伝承を聞いた俺たちは当面この泉の周辺に村があると仮定して現地民を探すことにした。

泉の周辺にはシシウリ様の祠が5体ほど祀ってあり、その全てに華がお供えしてあることから誰かしらがこの泉に通っていると判断した。


「じゃあ私は食料確保しながら周辺の調査をするから二人は水の流れに沿って人がいないか探してみて、多分だけどこの水に沿っていけば集落くらいあると思うから。」


そう言って志麻ちゃんは俺たちに泉から流れている小川を指した。


「なら志麻ちゃんも一緒に行こうよ。3人で行動した方が安心だし。」


「うーん。二手に分かれて探した方がいいと思うのよね。もしかしたらこのすぐ周りに集落があるかもしれないし、私はこの周りを調査して追いかけるから。」


望みは薄いが、確かにこの周辺に集落がある可能性もある。


「もし小川が分かれたりしてたら目印を置いといて。それと一日歩いても何もなかったらその場で待機すること。待機地点では煙を出してくれれば多分いけるはずだから。」


そう言って俺と杏先輩は、志麻ちゃんと別れ別行動することになった。


「探検なんて久しぶりなのだよ。お腹も膨れて案外楽しいトレッキングなのだよ。下り坂が多いし、これは楽勝に村なんて見つかるのだよ。」


「確かに杏先輩の言う通り、これは楽勝かもな。魔獣がすこし不安だけどね。」


「ふっふっふっ。魔獣なんて容易いのだよ。

刹那くんおいしいのだよ作戦!略してSOS作戦なのだよ。」


助けを求めたようなその作戦名は見殺す気満々だった。

まぁ餌になるのは控えるにして最悪何か出た時は真剣に戦わないとな。


1時間ほど歩くと地面は獣道から舗装された道になった。


「ほれ。刹那くん。私の言った通りこれは楽勝なのだよ。道が舗装されていて歩きやすいのだよ。これはもうすぐ人里が見えるに違いないのだよ。」


「水の流れに沿っていけば人里に出れるって言いだしたのは志麻ちゃんですけどね。」


「全て私の手柄なのだよ。私が思ったことを先に志麻くんが支持しただけに過ぎないのだよ。私はこれを全て上司に報告して刹那くんと同じ隊に入れてもらうのだよ!」


「いや。マジでそれはやめてください。俺は先輩が俺を見捨てて大蛇から逃げたことを報告しますよ。」


「プシュポン!!君は昨日からそればかりなのだよ!大蛇に飲み込まれたのは刹那くんのせいだし、私は精一杯やる前に志麻くんが君を助けたわけであって私は時間さえあれば君を助けたのだよ!いつまでも昔のことをうじうじと言ってるから君はモテないのだよ!」


先輩と同じ班だなんて、一つのミスが死に繋がる。そんな予感しかしない。


「動クナ。止マレ。異界ノ人。」


俺たちは異世界人に囲まれた。






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