第52話 力を手に入れると人は試したくなる
数メートルも先から突然ダンが爆音と共に間合いを詰めた。
顔面に向けての突然のパンチ。
と見せかけてボディに一発。
腹には熱と衝撃、再度爆音。
やはり能力は爆風のようだった。
めちゃくちゃ吹っ飛んだが、マトウの制服は特別、耐衝撃性に優れている。あと2、3発なら耐えれそうだ。
と言いつつも俺は腹を押さえ悶え苦しむ。
相手には触れることすらできていないため、オールダウナーも発動していない。
「お前…弱いな。」
今度はゆっくりと俺の方に向かい歩いてくる。
ゆっくりと立ち上がり、戦闘体制をとる。
両手には神供を込めて、今度は少しでも触れれるように構え、相手の出方を待つ。
「冥土の土産に教えてやる。シシウリ今まさに復活している最中だ。」
俺はいないシシウリを探した。
「今俺たちがいるここには、シシウリの御神体が封印されていたんだ。」
「そんなもんねーじゃねぇか。」
「察しが悪いな。シシウリはただの魔獣じゃない。神獣であり、神供…エネルギーの塊だ。
魔獣の核は、神供の多い魔獣から稀に取れる結晶だ。多くの魔獣は能力が劣るためか、神供が少ないのか、魔獣の核は手に入らない。
そして魔獣の核を持つモノは、核を取られると消滅してしまう。」
ダンは不適な笑みを浮かべる。
「復活にはもう一つ必要なものがあるんだ。」
魔獣の核と御神体以外に何がいるのか俺には想像もつかない。
「魂魄だ。意識がないといくら御神体に核を入れても動きはしない。」
「魂魄?…”魂”ってことか…そんなもんどこにもないだろ?」
その魂はどうやったら手に入れれるんだろう。
降霊術でもやる気なんだろうか…
「ここにあるだろ。ココに」
そう言ってダンは親指で自分の胸の辺りを指していた。
つまり、ダン自身を触媒にシシウリを復活させる気のようだ。
「そんなことやってお前が無事じゃすまねぇーぞ。豚に成り下がってネフロントをマトウもろとも破壊しようなんてアホだろ。」
「何を言われようとも、もう止まらない。既に儀式は済んでいる。」
そう言ってダンの筋肉は膨張し、衣服を破り,
上半身をむき出しにした。
ダンの身体は、人間ではない白い毛に覆われて、半獣のようなになっていた。
「シシウリを取り込んだ俺の力を試させてもらう。」
再度、爆風と共にダンは俺に向かって来た。
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