第4話 転校生キャラは大体同級生
俺、赤塚刹那は昨日、魔獣討伐連盟に入隊して1週間がだった。
しかし、俺の生活はケータイを持たされただけで何も変わらなかった。
志麻ちゃんともゴリラとも連絡がとらず、いつから任務とか、戦闘訓練だとかそういうのを期待していたのに実に残念だった。
少年漫画なら志麻ちゃんが転校して来るんだよなぁ。
そんなことを思いながら、窓から外を眺めていると、あれは3年生だろうか。
俺の席は窓際にあり、窓の奥にはグランドが見えるのだが、3年生女子の中にめちゃくちゃ見覚えのある美人がいた。
「おーい。赤塚ー。3年生が魅力的なのはわかるが、18ページから読んでくれー。」
俺をいじりながら授業を進めるのは地理担当の千葉先生。
放課後になり、あの美人が気になって3年の教室に彼女を探しに行く。
「やぁ。君は2年生の赤塚刹那くんだね。」
身長148センチ、学校ではちょっと有名な先輩。白峰杏先輩だ。
「こんにち。杏先輩。」
「珍しいね。3年生の教室付近に、部活もやってない2年生がこんなところに来るなんて。どうしたの?」
「いや。人探しです。」
杏先輩なら志麻ちゃん似の三年生のことを知っているかもしれないな。
「美人な三年生って知りませんか?」
「んー?美人?恋か!恋なのかい!?美人な三年生って私を差し置いて美人と呼ばれる三年生なんてそうは居ないが、恋は盲目、可愛い後輩のためならその美人、私が探してあげよう!ニシシシシ」
特徴的な笑い方の彼女はして俺の人探しに協力してくれるという。
「恋ではないんですけど、知り合いに似てるというか。俺の探してるのは志麻って人なんですけど知りませんか?」
「あー志麻ちゃんか!知ってるよ。」
知ってんのかよ!
「志麻ちゃんはレベル高いからね。愛しちゃったか。あの小さかった刹那が、愛しちゃったか。」
恋してないって言ってるだろ。愛するわけないだろ。後、先輩とは幼稚園からの知り合いだが身長を越されたことはない。
「杏先輩。愛してないです。」
「何?愛してないの?まだチェリーなの?チェリーな刹那、可愛いぃー。先輩は安心したよぉ!私が貰ってあげようか?ニシシシシ」
ニシニシ笑う先輩は、基本自分のペースで話す。
この人はめんどくさい。
だから一方的な話で、常に世界の中心は、自分だと思っているに違いない。
一度捕まると自分が満足するまで話を続ける。
「先輩いいですか。俺、杏先輩の巨乳すごくいいと思ってます。低身長……巨乳……まさに才能であり最高、嗜好の効能です。」
そんなわけはない。俺はスレンダー貧乳がタイプである。
先輩をじーっと見つめ、かなり真剣に彼女に向かっていう。先輩はいじるのは好きだがいじられるのは苦手なタイプだ。ちょっと揶揄うと思考が停止する。
「え?いや。でもまだ学生だし。私的にはそういうことはちゃんと付き合った人同士。しかも、ちゃんと責任を取れる歳になってからやったほうがいい気がしてて、できれば私的には、順番をちゃんと守ってくれる人がいいと言うか。順番って深い意味はないんだけど、刹那は弟にしか見えないっていうか。」
めちゃキョドるぞ。順番とか言ってるこの人の順番はすでにめちゃくちゃだ。
自分で数秒前に行ったこと忘れたのか。手のひら返し早すぎだろ。
コイツ手にべアリングでも付けているのだろうか。
「先輩…俺は」
「あー私、もう先生に呼ばれてるんだった!志麻ちゃんね。志麻ちゃんは一昨日3組に転校して来た子だよ。まだ残ってると思うからじゃあね!また話そう。」
先輩はとんでもない勘違いをしてどこかに行った。
ってか志麻ちゃんも、ドジだなクラスどころか、転校してくる学年間違えてるんじゃないか。
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