第5話 レンジってなんですか

3年3組の教室を廊下から覗くと、確かに奴がいた。

志麻ちゃんだ!鞄を持ってるし帰ろうとしたらクラスメイト捕まったって感じか。

話が終わったのか彼女は教室から出て来る。


「志麻ちゃーん。」

俺が呼び止める前から彼女は俺に気がついていたようでアンタが来いと言うよう、一瞬目があって下校し始めた。


「志麻ちゃんさんなんでここ居るの?」

「まず、私は先輩なのだから、少なからず学校では、真島先輩、もしくは志麻先輩って呼びなさい。刹那くん。」


いきなりの説教。この女なかなか性格が読めない。

「じゃあ、志麻ちゃん。俺せっかくマトウ(魔人討伐連盟)に入ったのにやることなくて、いつ出動すればいいの?」


志麻ちゃんは俺の態度に納得いっていないようだったが、何をすれば良いか相談に乗ってくれた。


「刹那くんはまだ覚醒者になって日が浅いし、能力だって連続して使えないんだから、まずは家で練習でもしてなさい。能力は上限はあるけど、基本使えば使うだけ能力継続時間とか、発動速度とか上がるから。」


「練習って言ったって何するかわかんねーよ。志麻ちゃんはどんなことやったの?」


「大輔さんのアドバイスで、私は自分初めの頃は自分の能力とりあえず毎日回数決めて発動してたよ。あと、刹那くんはセカンドレンジだから対象物に触らないといけないんだし、身体でも鍛えとけば?」


あのゴリラ、俺には何も指示しないくせに志麻ちゃんの時はちゃんと指導してたのかー

俺的には師匠みたいな人と実践訓練するのが理想なんだけどな。


「ってかセカンドレンジって何?」

「あっ。そうか、まだ私の始末書回避するために入隊させちゃったから研修も受けてないのか」

ん……どう言うことだ?何を言っているのか分からん。ゴリラなのかコイツも。

始末書回避とか……

「始末書回避って何?」

「なんでもない。」

「え?何?」

「なんでもないです。」

志麻ちゃんは目を背け、俺に真実を明かそうとかなかった。


「そんなことより、セカンドレンジっていうのはね。攻撃範囲を表してるの。」


志麻ちゃんは俺に淡々と説明してくれた。

要約すると、基本的には覚醒者の攻撃範囲は見つかっているだけで5パターンがある。

1.ファーストレンジ……能力を自身に発動

2.セカンドレンジ……能力を触れているモノ•人に発動

3.サードレンジ……能力を付加した武器の作成

4.フォースレンジ……能力を一定方向に放出

5.フィフスレンジ……能力を周方向に発動

ってことらしい。


「よくわかんないんだけど、つまりどう言うことなの?」

「そーね。例えば、”飛ぶ”って能力があるとするじゃない?そうすると1stレンジでは”覚醒者が飛ぶ”。2ndレンジでは”触れたものを飛ばす”。3rdレンジでは”エネルギーで作った武器を飛ばす“。4thレンジでは声とか、エネルギー飛ばしてそれに当たったモノが飛ぶ。5thレンジには周辺のモノが飛ぶ。みたいな感じかな。」

「つまり1stレンジは舞空術。2ndレンジはテレキネシス。3rdレンジは魔法の箒。4thレンジは魔法の呪文。5thレンジはポルターガイストみたいな感じ?」

「うーん。大体そんなかなー。テレキネシスは触れないイメージだけどね。レンジって生まれ持った才能だし、能力にも適合とかあるから一概には言えないんだけどね。レンジをちゃんと理解することが自分の戦闘の幅を広げるって大輔さんのもよく言ってる。」


なるほど。レンジって大切なんだよな。

俺も自分の能力を鍛えて強くならないとな…。


「志麻ちゃん。ちなみにレンジはどの能力が強いの?」

「強さなんて能力次第でしょ?」

「そりゃそうだけど、喧嘩だと、リーチの差って長い方が有利じゃん。」

「大丈夫よ。セカンドは基本補助がメインだから最前線に出ることなんてないから。喧嘩とは違うのよ。」


コイツ俺を気絶までさせておいて何言ってんだ。

まぁ安全ならいいか……。


「そんなことより、今日はどうする?せっかくなんだし本部に行く?私はこれから行くけど」

「いや。本部ってどうやって行くんだよ。前回帰る時なんかヘリで送迎されたぞ。」

「うちの家に転移ゲートあるから家から本部に行けるわよ。因みにアンタがヘリで送迎されたところもゲートで本部に繋がってるだけの施設だから。」

マジか。すごい。そんな能力あるの。家と学校につけてほしいわ。

俺は彼女が借りているというマンションに一緒に行くことにした。

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