第48話 助けを求める声がする
志麻ちゃんの様子が心配だ。
確かトルファが相手はオーガになる能力って言っていた。
能力を聞くとファーストレンジだろう。
身体強化した相手に志麻ちゃんの攻撃が通用するのだろうか。
普段なら俺の能力で相手を弱らせて、志麻ちゃんがとどめを刺すんだが…
「志麻ちゃんが心配なのだよ。刹那くんは助けに行かないとダメなのだよ!」
杏先輩は俺に向かって言い放った。
「私は多分足手まといになるから、ここでコイツと隠れているのだよ!大丈夫。もし、敵に見つかったら人質を盾にして逃げてみせるのだよ。」
そう言ってトルファを指刺した。
凶悪な杏先輩を置いて行くのは心配だが、志麻ちゃんを見捨てるわけには行かない。
「杏先輩。すいません。少しだけ待っていてください。1時間以内に必ず返って来ますから。」
俺はそう言って杏先輩を置いて志麻ちゃんが消えた茂みの方へ向かおうとした。
ガサッっガサッ
茂みの方から何か音がする。
敵か獣か。張り詰めた空気が俺たちの周りに流れる。
「フッフッフ。我々星読みだけがお前たちの敵ではない。ここに住む魔獣たちは少なからずこの魔女を餌としか見ないだろな。男のお前はでも覚醒者。その能力で私たちを守るべきじゃないか?」
トルファはどうやら俺を志麻ちゃんの元へ行かせたくはないらしい。
それはそうだ。俺が仮に志麻ちゃんに合流しようものなら敵はかなり不利になる。
「うるさいのだよ!魔獣が出たら私よりも先にお前を餌にしてやるのだよ。」
そう言って杏先輩は縛ってある蔓をさらに縛り上げる。
ガサッガサッっと再度茂みが音を立ててる。
確かに魔獣か、敵がこちらに向かって来ているようだ。
「フッフッフ。魔女っ子、私は君のことが大っ嫌いだ。頼む置いていかないでくれ。コイツは本当に私を殺しかねない。」
どうやら杏先輩と2人になるのが嫌なようだ。
「…ハッ!私は嫌われていたのだよ。刹那くん。私はこの金髪女子こと大好きなのだよ。オモチャとして。サンドバックとして。ポカポカにしてやるのだよ。」
それは敵だし、そんだけボコボコにしたら嫌いになるだろう。
杏先輩はどうやらトルファに負けることは無さそうだし、やっぱり志麻ちゃんのところに行くべきだな。
「俺はこの茂みに魔獣がいないか確認して志麻ちゃんを探しに行きます。」
俺も強い方ではないが、さっき飲んだポーションのおかげもあってかなり体が軽い。
能力を使えば数匹の魔獣くらいなんとかなる気がしていた。
ガサッ、ゴソッ。
音が大きくなりかなり近くに何かが来ていると思ったら突然茂みから揺れ動き始めた。
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