第28話 戦力外通告デース。

脱出を手伝うと言ってもこの人の、能力をうまく使えば、一人でも逃げれんじゃないだろうか。


「私、実は一人じゃないデース。仲間も別の牢獄に捕まってマース。私たち同じマトウ。協力してみんなで助かりマショーウ。」


つまり脱出を手助けしてやるから仲間も助けてくれってことか。

同じマトウだし、断る理由もないな。


「俺は大丈夫だけど杏先輩もそれでいいですか?」

「私は別に構わないのだよ。」


俺と杏先輩はアルパカ人間のロベルトさんに従うことにした。


「協力してくれるならユーの能力を知りたいデース。能力を見せてください。」


ロベルトさんに言われたので、俺はその辺の石を手に取り、能力を発動させた。

修行の成果もあってか、以前より数段にパワーアップした俺の能力は、石に使えば強度が落ちる。


俺はその石をロベルトさんに渡し、握り潰すように伝えた。

泥団子を潰すように石はサラサラと砕ける。


「ブリリアントデース。ユーの能力はオールダウナーですか。フムフム。とても使いやすいデース。力はそれだけですか?」


どういうことか意味がわからないが、これ以外の力は残念ながら持ち合わせない。

あとは覚醒者として少し肉体活性ができること、神供を纏えることぐらいだ。

俺の知らない力があるってことか?


「オーケー。分りマシター。まだまだ修行不足デース。神供(じんく)にはまだまだ、あなたの知らない能力がアリマース。」


また心を読まれた。


「そこの魔女っ子は…。オーケー。分りました。戦力外デース。魔女っ子ではなく邪魔っ子デース。」


杏先輩は戦力外通告を受けた。

まぁ。仕方がない。どうせ心の中でアホなことでも考えてたんだろう。



「プッシュポーン。失礼なのだよ!このアルパカ!私も戦力になるのだよ!確かに神供は使えないかもしれないけど。私も頑張るのだよ。」


「オーケー。なら貴方達これができますか?」

そう言ってロベルトさんは手から神供を出して、掌に人形を神供で作った。


「なんなんのだい?これは?」


杏先輩は首をかしげ、手に取ろうとすると人形は簡単に崩れ落ちた。


「これは、神供で作った人形デース。サードレンジの覚醒者ならその辺の鉄より硬く、人に触られても崩れ落ちたりしまセーン。最高の武器になりマース。私は適正レンジではないのでこのくらいが精一杯デース。」


何が言いたいんだ。そういう目で俺と杏先輩はロベルトさんを見詰める。


「覚醒者に成らずとも、こういう力が有れば多少は使えマース。戦略の幅が広がりマース。ユーはそれが使えナーイ。つまり戦力外デース。」


「プシュポーン‼︎刹那くん。私は戦力外じゃない使える女だってこのアルパカ人間に説明してやるのだよ!」


いや。オブラートに言っても足手纏いです。


「先輩は大器晩成型なんですよね。だから今回はロベルトさんのいうことを聞きましょう。スーパーサブ的な?最終兵器的なポジションでいきましょう。」


「うむ、そういうことだよ。アルパカ人間。」


何がそういうことか知らんが、納得したのでよしとした。




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