第29話 正直者は問題しか起こさない。

「そう言えば、ロベルトさん。仲間がいるって言ったけど何しにこんなところに来たんだ?」

俺はふと思った。そもそもここはネフロントから近いのだろうか。


「そーですねー。私たちが何のためにここに来たかちゃんと話さないとイケマセーン。」


ロベルトさんは俺たちに語り出した。


「私達は数ヶ月前ネフロントの警備に当たってました…。」



ロベルトさんの話では俺が丁度、爆弾魔に襲われていた時、ネフロントさんの率いる班は城内警備を行なっていたそうだ。

その際にネフロントではシシウリの心臓という魔石が奪われたそうだ。


ロベルトさんは爆弾魔の目的がシシウリ様の復活であることを自身の能力で知ったらしい。

復活にはシシウリ様の御身体とシシウリ様の心臓と呼ばれる魔石、必要らしい。

ネフロントでは魔石を爆弾魔に奪われ、爆弾魔達はシシウリの心臓を探しているようだ。



どうしてこんな辺鄙(へんぴ)なところにロベルト達が来ているかというと、この部族はシシウリ族といい、その名の通りシシウリ様を崇め奉っている部族だ。

シシウリ族はシシウリ様の御神体をどこかに保持しているらしく、爆弾魔より先に御身体を確保することがロベルト達がの任務だそうだ。


ちなみに、シシウリ族の文化は原子時代程度のものしかないらしく、主に狩で生計を立てており、独自の言葉をメインに話すらしい、会話が通じるものが少なく、交渉の末監禁されたようだ。



「刹那くん。刹那くん。王都の警備からこんな辺境の地で宝探しなんて。つまり左遷なのだよ。任務失敗の責任を取って飛ばされたのだよコイツら。それなのにまた失敗して…ププププ。」


おい、笑うな。失礼だろ。名誉挽回のチャンスを与えられただけだと思うぞ。

復活したら厄介なんだから、これはこれで大切な任務のはずだ。


「無能な魔女っ子失礼デース。私ユー嫌いデース。」


「私もユーのこと嫌いなのだyo。」


数分前に協力すると言っておいて、

メンチを切って即座に仲間割れをする。

杏先輩はさすがとしか言えない。


「そんな大事なものを入手するために小隊できたのか?」


「いえ。私たちはタダの交渉役デース。大勢で突然来たら戦争になる可能性もアリマース。もし私からの定期連絡が途絶えると中隊がここに来る手筈デース。」


ということは遅かれ早かれ生きていれば助けが来るってことか。


「交渉役ならもう少し温厚な方がいいのだよ。」


「煽るな。バカやろう。先輩がが挑発するからでしょ。」


「フフフ。ユーのような魔女っ子には慣れてイマース。私は人の本心がわかりマスからね。人は心の中ではなに思ってるか分かったモンじゃないデース。そして本心をここまで出す人は初めてデース。」


嘘偽りのない正直ものは問題を起こしやすいと言うことか…。




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