第34話 [番外編1]脇役にこそ注目してほしい。
ガキン。ガキン。
ズパーン。
斬撃を受け、撃ち、交わし、躱す。
志麻は焦っていた。自分の能力が全く効いていないのが分かったからだ。
刹那に先に行けといった手前、自分が負けるわけにはいかない。だが、相手は格上。
相手の間合いに入れば、こちらは防戦一方。
4th rangeの強みである遠距離攻撃を使い、彼女の能力の斬撃を放ったとしても、相手はその斬撃を切ってしまう。
「女よ。お主は剣士ではないな。その技は剣士としては奇行すぎる。一流の剣士ならば、己の刀より長い間合いを切ることも容易いが、その斬撃を飛ばすことに慣れすぎ、本来の間合いさえも分からぬお主に剣士の名は重すぎる。」
志麻の能力は確かに斬撃を飛ばし、遠距離からの攻撃を浴びせる志麻は、剣士としては奇行なのかもしれない。しかし、決して刀の間合いで戦うのが苦手というわけではない。
「返してもらおう。我々の友の核を……。我が友だから成立した、唯一無二の技であり、お主のような者が使いこなせるわけではない。」
ガキン。刀を弾かれ、無防備になる志麻。
「くっ。この核は大輔さんと私が初めて組んだ時に倒した魔人から手に入れたんだ。あんたの言う友かどうかは知らないけど、これは私のだ。」
「死ね。女。我が友にあの世で詫びろ。」
敵が刀を志麻に振りかざした時、志麻の影と敵の影が重なった。
「貴様が死ね。」
「死ぬのはテメェだ‼︎」
怒涛、怒号、ブチギレ、志麻の影から現れたのは木場瑛人だった。
敵は瞬時に瑛人の殺気に気付き、飛び躱した。
「お主。影に潜んでいたのか。不自然な視線を感じておったが影の中とはな。気がつかなったぞ。かっかっか。」
「俺の女に手を出すなよ。クソ侍。」
「貴様何者だ?」
「俺はなぁ。志麻さんのストーカーだ!このやろう‼︎」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます