第56話 [番外編2] アルパカ再び

志麻はわからなかった。なぜこの男がここにいるのかここにいるのか。

杏はわからなかった。なぜこの男がこんなにも偉そうなのか。

トルファはわからなかった。この男が人間がどうなのか。


男は30人以上の部下を従え、3人を囲み。

腕を後ろに組み、偉そうに踏ん反り返っていた。

「志麻ガール。お久しぶりデース。小隊の引率ご苦労様デース。」


エセ外国人のような喋りで志麻に挨拶してきたのはマトウの黒の軍服に袖を通した顔面アルパカ、身体は人間という珍獣、ロベルトだ。


「大葉君は今日はいないのデスネー。悲しい限りデース。」


「ロベルトさんご無沙汰してます。」

志麻はかしこって挨拶をしたが杏はガンを飛ばす。


「杏ガール。さっきぶりデース。そちらは誰ですか?」

「この子は…


志麻が答えようとするとすかさずロベルトはこう続けた。

「ユーは敵ですかー?ビーサイド出身のチンケなテロリストですか。笑っちゃいますね。杏ガールに倒されたと…クサ生えマース。」


小馬鹿にした態度でトルファを見るロベルトはさっきまで捕まっていた彼とは違った。


「ふっふっふっ。君たちの組織はどうやら珍獣まで飼っているとはね。恐れ入ったよ。異世界人。私よりも流暢に言葉を話すなんて」


馬鹿にされたトルファはロベルトに精一杯強がって見せた。


「oh..。可哀想デース。これからマトウの拷問で泣きを見る彼女を考えると…。」

ロベルトは全身を使ってかなりオーバーにアクションをした。


「既にご存知かもしれませんが、この女はシシウリ復活を企み、先日のネフロント襲撃も彼女達の…」

志麻が話している最中にまたしてもロベルトは続けて話し出した。

そして部下に指示を出した。


「ユーからユーまでは簡易時空の扉を開いてくださーい。そしてユーはネフロントに着いたらできるだけ多くの人員を集めてクダサーイ。シシウリが走ればネフロントまで3日ほどで着キマース。時間はアリマセンヨ。マトウの危機デース。ロベルト班の力見せつけてヤリマショー。」

そういうと他の戦闘員達は「イェス!サー!」と返事をしまるで本物の軍隊のようにテキパキ動き始めた。



「マトウにもこんな部隊がいるの知らなかったのだよ。」

「私も個人プレイが少人数、個人プレイがマトウの良さかと思っていたわ。」

杏と志麻は彼らのあまりの統率に呆気に取られていた。


「ガールズ。ユー達にはやってほしいことがアリマース。」


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2nd Range: 能力を下げる能力で最強を最弱に。 京天寺 きちえ @Kichie

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