第55話 白の草原
「刹那!入れ!」
瑛人叫びながら俺の影を触れて空間を作り上げた。
俺は落ちるように俺の影の中に入っていった。
「ふうー。生き埋めにはならずに済んだ。」
俺は安堵してた。
有能こと瑛人の能力はこう言う時に便利だ。
「いや。そうも言ってられないな。俺の能力はな、影の中に入ると出る時は元あった地面から出ることになる。地面の上に土や泥が被ってたら大した問題じゃ無いが、岩や土砂があると生き埋めと大して変わらないからな。」
普通に終わりそうな話をされた。
食料は瑛人が持ってるし数日は生きれるから安心だろう。
「しかも俺の所持品は俺の影のに入れてるからここからは取り出せない。」
ふざけんな。無能野郎。
瑛人の影の中は少し不思議な空間だ。
灯りがない筈なのに物は見える。周辺全て真っ黒で影なんて見当たらない。黒い部屋にいるのではなく、能力の通り影の中にいるそんな感じた。
物珍しそうに俺はベタベタと床を触る。
壁が遠くにあるのか、見えないのか、そもそも壁というのもが存在しないのかわからない。
「ここの広さってどのくらいなの?」
俺は悠長に事を構え、とりあえず1時間ほど休む間に探検でもしようかと考えていたら。
「本気を出せば東京ドームくらいの広さになるけど、咄嗟に作ったから10畳くらいかな。高さは3メートルくらいある。1時間ほどしたら外の様子を見に行くぞ。それまで寝てろ。」
何もない壁に俺はぶつかった。この空間は住むには適さない。
瑛人はすぐ横になり寝始めた。
俺はそんなすぐに寝るもんかと思いながら横たわり目を閉じた。
俺は爆睡してしまった。
「…おい。…おい。…刹那起きろ。」
瑛人の声と共に俺は目が覚める。
目が覚めたらそこは白い草原の中に俺たちはいた。
「なんだここ!瑛人の能力か?」
「ちげーよ。俺の能力じゃぁねぇ。外に出たらこんなんだったんだ。」
周りは岩肌と白い草原に囲まれている。
「出る時は元あった地面から出るって言ってたじゃねーか。土砂に埋もれてるならまだわかるけど別世界じゃん!」
俺は少し幻想的なこの場所から空を見て太陽が真上にある事を確認した。
結構長く戦ったけど太陽がまだ真上にある。
そんなわけない。かなりの死闘。1時間の睡眠。俺の予定では今は午後だ。
しかし太陽の位置的に今は真昼。
「瑛人!太陽が真上にある!ここ違う世界に飛ばされたんじゃねーよな?」
「いや。2人揃って十数時間爆睡しただけだ。とりあえず腹減ったし、飯でも食おうぜ。」
俺たちはタイムマネージメントが苦手だ。
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