第7話 そうだ、異世界に行こう

マンションに入り志麻ちゃんの部屋へ。

エレベーターに乗り13階。

生まれて初めての女性の部屋。


「志麻ちゃんここに一人暮らしなの?」


「ルームシェアみたいなものよ。何人か共同で鍵を持ってるの。今は多分5人か6人くらいがここを使ってるかな。」


5・6人ってが使えるって広いめの部屋なのか。

確かにファミリータイプのマンションだろうけど外からはそんな広くは見えなかった。


「ここよ。1311号室。」


そう言って彼女は部屋を開けた。

ガチャ。ドアを開くとそこには廊下があった。




ドアを開いたんだから廊下はあるのは当たり前なのだが、玄関がないのだ。例えるならオフィスの部屋のドアを開けて廊下に出るそんな感じだ。


「志麻ちゃんここって?廊下?」


「ここはマトウの本部よ。早く入って。」


ゲートで繋がっているとは聞いていたけど玄関からダイレクトに繋がっているとは思っていなかった。


「すぐ着くから、ついて来て。大葉班の部屋すぐなの。」


彼女が言うように、歩いて数秒というか、同じフロア内に事務所と書かれた部屋があった。

部屋の扉を開けると、4席机が向かい合って置いてあり、一番奥に席にはゴリラが座っていた。


「よぉ。刹那くん。すまんなー。こっちから連絡する予定だったのに、そっちから来てもらって。」


ゴリラがウホウホ言っている。


 まじで、ふざけんなって思ってましたよ。ゴリラゴリラゴリラ。


「いや。志麻ちゃんが学校に来てくれてたから助かりました。」


「よし、じゃあ来週からの予定だったけど、予定を早めて働いてもらうか。制服は今朝届いてたけど机がまだないから、今日は俺と”扉”に行ってもらう。」


ゴリラの話では”扉”とは”異世界の扉”のことであり多くの魔人はその扉から出現していることが最近の報告で分かったらしい。


つまり俺はこれからパトロールに行くらしい。

黒い制服に着替え、ゴリラと一緒にパトロールに向かった。志麻ちゃんはついてこない。




再度ゲートを使い”異世界の扉”の近くに来た。


周辺は立ち入り禁止になっており、俺ら以外には人はいない。パトロールといっても扉の前に立ってるとてもつまらない仕事だ。


「いつ来るんですかー。暇なんですけどー。」


「そんなポンポン魔人が来たら、日本なんて沈没してるよ。まぁ気長に待とうや。刹那くんはこの教本でも読んでて。」


そう言って、ゴリラは扉の前で横になった。


俺は教本を読んでいる。実につまらん。読む気が起きない。やる気が出ない。これはダメだ。終わった。無理だな。よし、読むのはやめよう。

俺は3ページほど読んで全て読んだことにした。


ゴリラは本格的に寝ている。


暇だったので異世界の扉の周辺を歩いてみた。

扉といっても単なる長方形の石が、神社の鳥居のように潜れるのだ。高さは20メートルぐらいで横幅は15メートルだ。奥行き幅は1メートルくらいだ。

扉の内側には何か文字が彫ってあるのだが俺には読めない。英語でもないし、ハングルとも違う。多分魔人の文字だ。


「扉って言ってもタダの長方形だな。」


とりあえず扉を潜ってみた。ゴリラも爆睡中だし、教本も読み終わったのだから。

扉を潜るとそこは岩肌壁がある洞窟だった。

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