第10話 修行編1

「ほら、俺の勝ちだ。これでお前の方が雑魚ってわかっただろ。」


負けたのは俺だけど、ドヤる瑛人は腹が立つ。

俺だってまともにやってコイツに勝てるわけがないのはわかっていた。

俺は瑛人に引っ張り出され、渋々コイツの指示に従うことにした。


「刹那、お前は弱い。パワーが圧倒的に足りてないんだ。」


瑛人の話はまとめると覚醒者になった際の魔人の核はエネルギーであり、それを身体に込めると必然的にエネルギーが放出され、身体能力が上がるらしい。


「俺達はこのエネルギーを”神供“と呼ぶ。お前の神供を高めろ。それが強くなる近道だ。」


瑛人はそんなことを言ってた。


「ちなみに、お前の能力も神供の一種だ。だから神供でガードできる。お前が何分前に使った能力解除してないだろ。だけど俺はピンピンしてる。」


確かに俺は能力を使って解除してない。


解除するにはもう一度対象物に触る必要があるのだが、触る機会もないし、なんかムカつくから放っといたのだ。


「じゃあどうやったらいいんだよ。」


「簡単。集中して溜める。人間の集中は意識をするだけで結果は全然違うんだ。」


そう言って瑛人は右手に神供を溜め始めた。


瑛人の右手は時間を経つにつれ光を纏った。


「2ndレンジは己の神供を相手に与えて攻撃をする。3rdはここから武器を作ることができる。4thは更に神供を放射し銃弾のように撃てる。5thはさらに範囲が広がり、己を中心に球状に能力を発動させる。ぼーっとすんな。やってみろ。」


「あっ。はい。」


集中!!


しかし、何も変化しない。


「集中!」「集中!」「集中!」


全く起こらん。


「まぁ。理屈は教えたからひたすら集中してやれ。右手に光が帯びたら今日は終わりだ。俺は少し用事があるから。ちなみに全属性身体に神供を纏うのはできるからな。2ndの能力は基本、相手の神供をぶち壊さないと意味ないからな。まず壊すためにも神供のコントロールはしっかりやれよ。じゃあな。」


瑛人グチグチつぶやいてどこかに消えてった。


1時間後…


そんなこと言っても光らん。何か感じるらしいが何も感じない。普通の能力発動はできるのになー。

俺の能力だけポンコツでそんなことできないとかあるんじゃないだろうか。


集中とか言われても分からんから、とりあえずその辺の石に能力発動することにした。確か使えばそれだけ強くなる的なことをゴリさんも言ってた気がする。


石に触れ、能力を使うと僅かに暖かさを感じる。

これがそうなのか。目を瞑り、感覚を研ぎ澄ませ別の石に触れた。右手の石、左手の石どっちも同じくらいの大きさだ。硬さも大体同じくらい。


目を瞑りって石を触っていると、石が崩れ始めたのがわかる。能力で強度が下がったのだ。次第に石は小さくなり、最後には両手に一握りの砂だけが残った。うーん。目を開きもう一度同じことの繰り返し、繰り返し。何度もやるとこれだけで汗が出る。

能力は使えてるようだ。


30 分くらい能力を使っていると流石に疲れ喉がカラカラ、水をどこかで入手しないと。


「刹那、頑張ってるな。」

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