第17話 魔女っ子は勝ちたい

ドヤ顔で勝負を挑んできた杏先輩は多分だが勝算はない。


「勝負内容はこっちで決めさせてよね。キャリアは私が上でも貴方達、最前線部隊が本気で戦われると周辺の地形がめちゃくちゃになっちゃうかもしれないから。ただし、私が負けたら刹那くんの言うことなんでも一つ聞いてあげるのだよ。」


「勝負内容くらいはいいよ。杏先輩相手に殴り合いもできないだろうし。」


俺は杏先輩の条件を飲んだ。

志麻ちゃんも何も言わなかったが、俺の方をみて頷いた。


「勝負内容はじゃんけんよ!」


再度俺に向けてウインクをする。

目にゴミでも入ったのかな。


「ちょっと待って。白峰さん。じゃんけんって、それはタダの運じゃない。強さは関係ないわ。」


「ニシシシシ。真島さん。君はさっき刹那くんの話を聞いてなかったのかい?さっき私の刹那くんは勝負内容は私が決めていいってことに同意したんだよ。戦うのは君じゃない。刹那くんと私なのだよ。部外者はお黙りってことなのだよ。」


志麻ちゃんを指差したドヤ顔で決める。


「刹那くんがいいならそれでいいけど…。」

「俺はいいよ。」


再度、杏先輩はニシニシ笑い出した。


「刹那くん行くよ!勝負は一度きり、一発勝負。私はパーを出すのだよ!行くよー。じゃんけんぽん。」


不意を突かれ、勝負は突然始まった。


結果は杏先輩はパー。俺はチョキ。

俺は杏先輩に勝ったのだった。


「んーーーーーー。刹那くん。君が馬鹿だったのを忘れてしまっていたよ。パーに負けるのはチョキじゃなくてグーなのだよ。私のウインクをなんだと思ってたんだい。私の完璧な作戦を崩すのはやめてくれ。」


「いや。パーって言ったからチョキを出したんだけど…」


「なーにー!君は馬鹿なのかい。バカなのかい。バカなんだね。それだと刹那くんは最前線部隊から脱退できないじゃないかい。」


杏先輩は、俺の胸部をポカポカ叩き、ご都合主義を爆発させる。


いや。俺は脱退とかしたくないのだが。


「こほん。」

 

俺と杏先輩のやりとりは志麻ちゃんの咳払いで止められた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る