第50話 突入

作戦会議終了後、俺と瑛人はシシウリ様復活を止めることにした。

瑛人が言うにはシシウリが復活するとマトウの拠点のネフロントも被害を受ける可能性があるらしい。


杏先輩と志麻ちゃんは瑛人からもらったこの世界の地図とコンパスを持ってネフロントへ向かった。

何故か瑛人が杏先輩の空飛ぶ箒を影から取り出したので、そんなに時間はかからないと言う読みだ。

瑛人が言うには珍しい箒があったから俺たちが気絶している時に逃げないように自分の影に入れたそうだ。あとは志麻ちゃんの影に入ってずっと俺たち(志麻ちゃん)をしっかり見守ってらしい。


捕虜として何か使えるかもしれないので、念のためトルファは瑛人の影に閉じ込めている。

瑛人が言うには瑛太の影の中はそこそこデカく、無駄に牢獄や拷問部屋もあるらしい。神供の総量なら自称マトウ一二を争うだそうだ。


「おい。刹那。ここの家だろお前らが敵を見たって言うのは。」

人気がなく物音ひとつしない民家を目で睨みつけ俺に聞いてきた。


「んじゃ、先に行け。とりあえず俺は援護に回る。」

俺は武器は基本素手での戦闘のため前衛しかできないと判断された。

敵も近距離タイプのようなので基本問題ないと思うが…念のため瑛人は銃を構えていた。

俺は使ったことがないので相打ちを避けるためにそう言うものも持たせてもらえない。


民家のドアを少し開けると死体の山があった。

俺は初めての人間の死体を見て、嗚咽が上がりそうになったが、ぐっと我慢する。


トラップがないこと、敵がいないことを確認して血の海を歩くと、奥に床に大きな穴が空いており、奥には階段があった。

どうやら敵はこの奥に進んだようだ。


「このまま、とりあえず進むぞ。」


瑛人は俺に初めて真剣な顔を見せている。

全くボケない。

この血の海を見て瑛人もかなり敵の強さ、残酷さを理解したようだ。


「刹那。奇襲をかけるために、お前の影の中に入っとくわ。敵見つけたり、やばかったら2回足踏みしろ。それで俺は出るから。無理をするな。やばいと思ったら引き返していい。」


瑛人はかなり経験だけはあるって志麻ちゃんも言っていた。常に志麻ちゃんのストーカーをしていることもあって隠密には長けている。


オーケー。俺に任せろ。

俺は意気揚々と地下に突入した。

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