第23話 大蛇との決着

ゆっくりと薄目を開ける。

光はまだ若干、足元から漏れているがほとんど見えない。

体の感覚は正常に働いており、生暖かい感触、息苦しさはあるが痛みはない。

右足の周辺に硬い何かがあるのがわかったが、これ大蛇の牙に違いない。


大蛇の体内で圧迫され、身動きはまずとれない。


ゆっくりとだが確実に俺は体内に入っていく。体内に入っていくに従って、締め付けは強くなる。

通常の獲物なら俺のように捕まってしまえば圧迫死させられるのだろうが、俺は能力を常に使い続けて蛇を弱らせていく。


蛇が動かなくならば先輩でも簡単に倒せるはずだ。 


「おろろろ。刹那くんが食べられてしまったのだよ。私は悪くないよね。刹那くん、私は悪くないよね。出てこられるよね。」


反省しろ。もっと落胆しろ。

そして助けてくれ。


俺は出来る限り、力を入れて蛇の食道を広ける。

俺の能力オールダウナーを常に使用しているおかげで大蛇も弱りつつある。


しかし苦しい。この前だと窒息してしまいそうだ。

大蛇はゆっくりと体を地面につけ、動けなくなったのか。俺は地面を大蛇の肉越しに感じた。


次の瞬間、目の前に突然光が現れた。

血飛沫と共に俺は大蛇の腹から脱出した。

目の前には杏先輩ではなく、志麻ちゃんが立っていた。




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