生存権っておいくらですか？

完結済み長編作品という分類ですが、中身は全50エピソードからなる短編集です。
ホラーといっても心霊的なものではなく、所謂『人怖』と呼ばれるような、生身の人間達が織り成す狂気や非日常、あるいは日常に潜む悪意や不快感といったものばかりで構成されていました。

どれも独立した内容でオムニバスとなっていますが、中には繋がりのあるエピソードもいくつかあるので、そういう繋がりを探したり考察しながら読むのも面白かったです。
更にはただ単に怖いだけでなく、切なかったりエモい話もあり、最後まで読んだ時の満足感やボリュームというのは、実際のエピソード数以上のものがあると感じました。
個人的には#3『Wanna …続きを読む

この物語は一話完結の短編集なのですが、語り手がそれぞれの「普通」の基準を持っていて、共感できる部分と、それを飛び越えてくる展開に目が離せません。

ホラーのジャンルで、確かに狂気を感じて怖くなります。だけど、「普通」の価値観に苦しむ登場人物もいて、切なくもなります。

この話を読んでどう思うか、それはまた「普通」の基準がそれぞれ違う読者様に委ねられているような、興味深い物語です。

是非ともご一読ください。

物事の評価基準は人それぞれ。例えば自分にとって「好きなもの」でも他人にとっては「嫌いなもの」の場合がある。そう考えると「普通」の判断基準も個人によって変わってくると思いませんか？――　

こちらの小説ではキャッチコピーにあるように「普通に生きるってどういうこと？」を考えさせられるホラーです。

一話ごとに登場人物が異なり、違った価値観をもって生活しています。リアルに描かれた登場人物たちの物語を読み進めていくと、普通とは何かを意識してしまいます。

生々しい怖さをちりばめれており、ねばりついて、ぞくっとする……そんな気配を感じるホラーです。

こちらの作品はホラー短編集であり様々な形の狂気や恐怖が表現されています。
ご都合主義のない、直球で人間が一番怖いを書いているカクヨムにおいて数少ない人間の心理をつくホラー作品だと思います。　

狂った人間の奥深いところまでえぐり出すように書かれており、とても面白い！そして、ゾクリとします。

物語に書かれている人は私の隣にいるかもしれない…
そんな、日常に潜む怖さを書いています。

一話ずつじっくりと読んで楽しませて頂いています。
オムニバス形式なので、ホラーが苦手な方にもぜひ拝読して頂きたいおすすめの作品です！

「普通」ではないとされる人々にスポットを当てた、一話完結の短編集です。

登場人物には皆、それぞれの価値観や哲学があって、それぞれにとっての普通とか、正しさといったものを持っています。しかしそれは大多数の人にとっては受け入れがたかったり……。

後味というか余韻は凄く苦いのですけど、そこがこの作品の魅力の核を成しているのですよ。
その苦味が、読み手に「普通に生きるってどういうこと？」と問うてくるのです。

「普通」に違和感を覚えている人にも、そうでない人にも、是非一度読んでほしいです……！

短編集でありながら、登場人物一人一人の造詣が恐ろしい。
みんな何かの価値観や哲学に取り憑かれていて、それを言葉に変えて届けてきます。
純粋な人間の怖さを詰め合わせて押し込んだ作品集。そんな印象です。

エッジの利いたセリフに鳥肌の連続。
おすすめです♪

だって作者本人が『それ』を目指しているのだから。

一話完結の物語として、各話は大抵バッドエンドとして描かれている。
しかし、その結末に各話の主人公たちは往々にして皆とても幸せそうだ。

それがどうにも後味の悪さを残す。
だがその狂気の深淵を覗き込む様な行為こそが、本作の偽りの無い『魅力』であるのだ。