女子ゲーム交流会 4

 まずい、非常にマズい……。

 今川を何とか撃退したとはいえ、僕の軍は壊滅状態、それに兵糧だってわずか、こうなってはマトモに闘う事も出来ないだろう……。


 となると、外交で解決せざるを得ないと僕は考える。

 つまり、同盟者を増やして守るのみ!

 これしか生き残る手段はない!


 という事で、まずは六角家と斎藤家と外交を……。


 《NPC(伊達家)がMOMIZI(上杉家)の領土へと進行しています》


 まぁ本来なら嫌味の一言や二言を言ってあげるところだけど、今の僕にそんな余裕はない。

 ともかく外交を優先しないと……あ、外交の為の金がない……家宝を売ろうっと……。


 …………。


 さて静かな室内の中で、ゲームの時が流れて1581年、僕は今、信長の様に大大名と名乗れるほどになっていた。

 その為に僕は素晴らしい戦略を繰り広げてきた。

 例えば、暗殺とか、毒殺とか、焼き討ちとか、まぁその他色々と……。

 おかげで、僕は京都から名古屋周辺までを収める大大名となった。


 そして僕は、遂に上杉家を狩りに行こうと思った……のだけど。


 「……同盟国が多い……」


 そう、モミジが率いる上杉家は大した領土を持たない代わりに同盟国が多い。

 何か武田家を始め、北陸の伊達家や最上?家なんて大きな所と手を組んでいるし……。

 ま、まぁでも僕にかかればそんなの問題なし! こういう事は、妨害工作で外交関係をズダズダにすれば……。


 《妨害工作は失敗しました》

 「…………」


 何でさ!

 せっかく、僕が容赦なくモミジを攻め落とそうと妨害工作を図ったと言うのに、どうして上手くいかないんだ!


 「おろ? 僕っ子は同盟崩しの妨害工作? そりゃ有名どころには同盟崩しは成功させずらいよ」 

 「うにゃ!? へ、変態男! 何でここにいるんだ!?」

 「そりゃココ、俺と姐さんの家で、俺の仕事場はここの二階だからね?」


 フーフー!

 ええいいきなり後ろから現れて、この変態男め! びっくりしたじゃないか!


 「シン、どうしたの?」

 「あぁ姐さん、俺は単に楽し気な雰囲気に釣られて来ただけよ」

 「なら、私の横、座るべき」

 「へいへい、んじゃ姐さんの隣に座りますかね?」


 そして変態男は氷菓先輩の隣に胡坐あぐらをかいて座る。


 ……正直、あの夫婦関係は羨ましいと思う。

 だって、いつも好きな人が傍にいて、それでいて、人前なのに堂々とベタベタ出来る。

 僕だってコータローとベタベタしたいんだよ……。

 ん? でも落ち着け僕、もしや変態男が人前でもベタベタ出来るのは変態だからなのか!?

 そ、それなら僕は今の関係でも……いや、でもやっぱりベタベタしたいと言うか、うーん……。


《NPC(武田家)がAKANE(織田家)の領土へ侵攻しています》


 っと今はそれを考えている余裕はなさそうだね。

 NPCなんて、僕が軽く返り討ちにしてあげよう……。

 あ、ついでに……。


 《おやおや、牛乳はNPCにまかせてのんびりしているね。 もしかして胸が重すぎて素早く動けないのかい?》

 《な! いいですわ! 今こそ決着をつけてあげますわ!》


 …………。


 「むむむむむ……」


 ふふふ、どうやら僕の勝ちみたいだ!

 武田家に便乗して攻めてきたモミジと愉快な仲間達だけど、僕の多数の兵力の前には結局無力だった。

 そして今、無残に散った兵士の姿に、牛乳は涙を浮かべて悔しそうに僕を見ている、あぁたまらない……この爽快感!

 これで僕と牛乳女の知能の差がハッキリと……。


 《途中、『ここは上杉家を使うモノとして、塩を送るべきなんじゃないのかな? モミジ』なんて言って助けを求めた癖に……》

 「…………」


 あ、あれは助けを求めた訳ではない! 断じてない!

 あれはその、あれだ! 僕の作戦だから、作戦だからセーフだもの!

 だから……。


 《HYOKA(島津家)がAKANE(織田家)の領土へ侵攻しています》


 ふにゃ! せ、先輩が何で!? と言うかよく見れば九州、四国、中国地方を支配しているし! いつの間に!?

 だ、だけど僕は大大名、そんな軍、押し返して……。


 《AKANE(織田家)家臣の明智光秀が謀反を起こしました》


 ふにゃ!? 謀反!?


 《AKANEは明智光秀に倒されました》


 そして、その文字の後、画面は真っ赤になり《GAME OVER》と言う文字が浮かび上がってきた。

 ……つまり、僕は負けたって事!? こんな理不尽な事で? 今までこんな事一階も無かったのに!

 こ、これじゃまるっきり信長じゃないか、僕は……。


 「因果応報というか、焼き討ちなんかするから、本能寺で焼かれる事になるんですわ……」

 「う、うるさい! 僕を憐れむ目で見るな!」

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