アカネの里帰り おまけ

アカネの里帰り オマケ

 さて、母さんの誕生日が終え、夕方の電車に乗り込んだ僕達夫婦。

 そんな電車の中からだが、早速僕はこう断言したい。


 


 だって、好きな人と隣り合って座れるし、一番前の席であれば、目の前は壁。

 隣は必ず好きな人、そして窓か通路のどちらかが反対側に来るわけだ。

 特に窓側は良い! 好きな人が壁になり『俺の彼女だ!』とでも言える雰囲気を漂わせてくれる感じがあるから!


 そしてここから壁ドンのチャンスもある!

 こんな状況で大好きなコータローが壁ドンして『アカネ、お前は俺が守る』なんて言われた日には、僕は興奮して死んでしまうかもしれない!

 いや、それなら死んで悔いなし!

 そして、そこから『お前をじっくり食べてやる』とか言って、人目を憚らず僕の唇をコータローの唇で封鎖して、そこから僕は……。


 「アカネ、何ニヤニヤしてるんだ?」

 「ふにゃ!? な、何でもないよ~、僕は何も考えていないさ~!」

 「その割には汗がすごいぞ、大丈夫か?」

 「だ、大丈夫!? 大丈夫だから!?」

 「そ、そうか……。 まぁ具合が悪くなったら言えよ、アカネ」

 「う、うん、そうするよ……」


 あぁびっくりした……。

 いや、でも丁度いい部分だったから、ちょっと不満足感が残る妄想に……。

 仕方ない、満足する為にもう一度するしかない! と思った僕は静かに目をつぶる。


 場所は自宅のキッチン、目の前に広がるのはコータローの顔。

 そしてコータローは、僕に向けてこう言うんだ。


 『今日の夕食は、お前だ……』


 そして僕は、コータローの甘い香りを嗅ぎながら、鼓動を上昇させ、そしてブラを外され、徐々に体に纏う布をはぎ取られて……。


 「アカネ! おい、お前鼻血が出てるぞ!?」

 「ふにゃ!? な、こ、コータロー、ティッシュはあるかい!?」

 「ほら、バックにポケットティッシュがあるからな! 本当に大丈夫かアカネ!?」

 「だ、大丈夫さ。 ちょっと調子が悪いのかもしれないね。 とりあえず鼻を抑えておこうかな……」

 「まったく、が普通に食べれるか心配だよ……」


 今日の夕食、お前……?

 今日の夕食は、お前……?

 つまり、人魚姫の様に美しい僕を食べるって意味かい!?


 へ? つまり、その、僕は大きな皿の上に寝かされ、そして僕はコータローによって調理されてしまって……。

 あぁそう考えると体中が熱くなってしまって……。


 「ぶはっ!」

 「あ、アカネ!? お前鼻血が滝のように流れているぞ、おい!」

 「い、良いんだ僕は……。 さぁ僕を味わってくれ……」

 「お、お前はいきなり何を言っているんだ!?」

 「ふふ、体が熱くて……、とても食べごろだよ……」

 「お、お前熱あるぞ!? まったく……、家に着いたらお粥を作ってやるからな、家まで頑張れよ!」


 そして僕は、家に着くまで、コータローに迷惑をかけながら家に着き、そしてベットに寝かせてもらったのであった。


 しかし僕は後悔していない。

 だって僕はコータローにおぶってもらえたのだから!

 だからこそ僕は言えるんだ!


 


 「はぁ……アカネの鼻血が付いてしまったな……、早く洗濯しないと……」

 「…………」


 それは正直ゴメン、コータロー……。

 ちょっと熱のせいか興奮していたんだ、僕は……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る