休日に幼馴染とデートを! 2
俺は今、タツヤ達を誘ってよかったと思っている。
と言うのも俺は何故か今日、出かける時から、アカネと言う存在にドキドキしているからだ。
何というか、今日のアカネはいつにも増して魅力的に感じる。
特に、その甘い匂いを嗅ぐたびに、本能的にムラムラしてしまうと言うか……。
その中性的な顔立ち、くびれ、白いシャツ、紺のズボン、足先……。
今日は全てが俺の心臓を鷲掴みにするような感じだ。
正直ギュッと抱きしめ、そのまま本能の赴くまま押し倒したい気持ちもあったが、流石にそれを抑えられない程、俺の理性はやわじゃない。
が、隣にいられては、その甘い匂いから壊れないとは断言できない訳で……。
だから俺はタツヤを助手席に座らせることにしたのだった。
…………。
さて、コンビニを通り過ぎ、森の中の国道を通っていくと、目的地の店にたどり着き、車から降りる。
『ザ、焼き肉!』と書かれたその店の広い駐車場は町はずれにしては大きく、そしてそんな町はずれの店には多くの車が止まっている。
「まぁ待つしかないだろうな……」
俺はその光景に自然と口を動かしてしまう。
まぁここは駐車場も広い焼き肉食べ放題の店、当然の事だろう。
そんな中。
「提案なのだが、夫婦別に部屋を分けて食べないか?」
急にアカネがそんな事を言ってくる。
きっとアカネの事だ。
せっかくの休日を少しは二人で過ごしたいと言うのもあるのだろう。
だが。
「アカネ、気持ちは分かるがそれは店に迷惑だろう。 それにこの込み具合だ、一緒のタイミングで出れるとも限らんぞ?」
俺は店への配慮、そしてタツヤ達と一緒に行動している事を考え、表向きはそう言った、本音は、コイツと二人だと、理性が持たないかもしれないからなのだが……。
「わ、ワタクシは貧相女にしてはいい考えだと思いますわ。 その、ご一緒させてもらっておいてなんですけど、どうせ車の中で話す時間の方が多いでしょうし、食事位夫婦の時間を設けても……」
「おや、下品な乳が僕の意見に同意してくれるなんて珍しい。 そんな珍しい事が起きたんだし、素直に僕の案を飲んではどうだい?」
「コータローさん。 その、出来ればモミジさんの希望をかなえたいので……」
この2人は、店への配慮を無視してとにかく夫婦の食事の時間を設けたいらしい。
まぁ、タツヤもそう言うのならなぁ、俺1人で我を通すわけにもいかないだろうし……不本意ながらここは、俺が折れるしかなさそうだな。
「分かった、では入口にある予約に2組分書いてくる。 タツヤ、お前も付き合え」
「はい!」
そして俺たちは店内へ入ると、2人を入口のイスに座らせ、俺とタツヤの2人で予約の紙へ移動する。
「真島……2人っと……。 次は……あ~、すまんタツヤ。 お前の名前の『あおざき』ってどんな漢字だったっけ?」
「あ~自分で書きますよ。
「じゃあ、すまないが先に戻っていていいか?」
「あ~良いですよ、早く戻らないと喧嘩する可能性もありますし……」
「まぁそうだよなぁ……。 じゃあ先に戻っているぞ!」
「はい!」
さて、あの2人は……、おーいたいた。
そして、俺は2人の元へと向かうのだが。
「はっはっは、僕は最近彼の看病もしてまた一歩前へ進んだんだ! それに僕は美味しいお粥の作り方も勉強した、君より僕が勝っているのは間違いないんだ!」
「あーらお粥なんて大した事ないですわ! 私なんてスクランブルエッグにトースト、そして牛乳のモーニングセットが作れるようになったのですわよ!」
「火にかけたフライパンに卵を入れてグチャグチャかき回す料理と、トースターに入れるだけのモノと、挙句の果てに牛乳をコップに注いだものでモーニングセット……? 面白い冗談だね。 つまりアレか? その下品な乳から出る牛乳を使ったから、モーニングセットなのかい? それとも牛みたいな乳の君がモーって鳴くからモーニングセットなのかい?」
「ふふふ、ならばアナタのお粥ってなんですの? 平凡な胸から母乳が出ないかもしれないから真っ白いお粥で母乳をイメージしているのかしら? ホント、ワタクシの様な胸に嫉妬しているのは分かりますが、まぁホント貧相な心だ事ですわ〜!」
火花散らして仲良く喧嘩中。
と言うかこいつ等、喧嘩するなら別の席に座ればいいのに、全く……。
「お前らな、喧嘩するなら離れて座れよ……」
「「イヤだね(ですわ!)」」
何こいつ等、仲悪いんじゃないのか?
席、他にも空いてるのに、何で隣に座るかね……。
ホント、どうしてこうなってんのだか……。
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