女子ゲーム交流会 2

 さて、結局ランダムで使用する大名を決めた訳ですが、結果。


 ・ワタクシ、当然、上杉謙信がいる上杉家! えへん!

 ・氷菓先輩、島津家。

 ・貧相な心のアカネさん、本能寺される人の所。


 と言う結果となり、ワタクシはニッコリと笑みを浮かべ、そして。


 「僕の……、僕の方が上杉謙信に向いているはずなのに……」


 そんな私の目の前では、悔しそうに拳を握りしめるアカネさんの姿が!

 まぁ、ここで追い打ちの一言を言いたい気持ちもありますが、ワタクシ同じ失敗はするつもりはありませんので……。

 なので追い打ちしたい気持ちを抑え、ワタクシは静かにソファに座り、ノートパソコンを膝に乗せてゲーム開始のボタンをクリックするのでした。


 …………。


 《AKANE(織田家)がMOMIZI(上杉家)への外交を敵対にしました》

 《MOMIZI(上杉家)がAKANE(織田家)への外交を敵対にしました》

 「「…………」」


 始まって3秒での同盟破棄にワタクシとモミジさんはにらみ合い、そして。


 「失礼じゃないか、僕をいきなり敵対認定するなんて! 攻撃もしていないのにいきなり敵対するなんて、義を重んじているとは言えないのじゃないかい!?」


 アカネさんはいきなり敵対意思を示した文句をワタクシに言ってきました。

 ふふ、ですが今回はワタクシ、正当性がありますわよ!

 このゲームは上にあるログが古く、下にあるものが新しい訳でして……。

 つまり、ワタクシはアカネさんの意思表示を見てからの行動という事が証明されているのです!

 だからワタクシは悪くありません、あの心も胸も体も小さいアカネさんが悪いのです!


 「ふふ、ですがこれは、ログを見てからの行動! 故にこちらには正当性がありましてよ!」

 「むぐぐ……」


 そんなワタクシの華麗なる一言で口をモゴモゴとするアカネさん。

 ふふふ、遂に華麗なワタクシの完全勝利が……。


 「でも、ほぼ同時、外交変更」

 「…………」


 あ~あ~聞こえませんわ~氷河先輩の声。

 べ、別に敵対にしたタイミングがちょっと遅れたから『あ、こういう言い分ができますわ!』って思った訳じゃありませんし!


 《NPC(武田家)がMOMIZI(上杉家)の領土へと進行しています》


 ってぎゃあぁぁぁぁぁぁ、早いですわよコンピューター!

 い、急いで兵士を送り付けて対処しないと!?

 突撃〜突撃〜!


 …………。


 「大人しくNPCの武田家に滅ぼされればよかったのに……。 僕は非常に残念に思うよ……」

 「わ、ワタクシはこの程度で滅ぼされませんわよ……」


 むぐぐ、嫌味な表情でワタクシを見るなんてアカネさん、許しませんわよ……。

 こういう時は、この手で……えーっと、妨害工作っと……。

 後はもう少しすれば……。


 《MOMIZI(上杉家)の妨害工作により、AKANE(織田家)の領内にて一揆が多発しています》

 「な、なにぃぃぃぃぃぃ!」

 「おーっほっほっほっほっほ! 無様ですわ~」


 あぁ実に良い表情ですわ! 無様としか言いようが無い間抜け顔です!

 ふっふっふ、このまま妨害工作を続けて……。


 「ひ、卑怯じゃないか! 僕はそこまで君にやってないのに!」

 「な、何を言うのです! 先ほどワタクシに嫌味な表情で『滅ぼされればよかったのに……』と言った事、忘れてませんわよ!」

 「僕は言っただけじゃないか! なのにそこまでするなん、て!」


 《AKANE(織田家)の妨害工作により、MOMIZI(上杉家)の領内にて放火が多発しています》


 「なぁぁぁぁぁぁ! そう言いつつ汚いではありませんの! 放火するなら本能寺で、しかも自分に対してしてくれません事!?」

 「つまり、僕にゲームオーバーになれと言いたいのかい君は! 全く失礼だね!」

 「一体どこが失礼なのか、聞きたいです、わ!」

 「その行動、その胸、全てだと僕は言ってあげる、よ!」


 《MOMIZI(上杉家)が……以下略》

 《AKANE(織田家)が……以下略》


 こうしてしばらくワタクシたちは、互いに妨害工作をしつつ罵倒し合うのでした。

 まったく、失礼だと思いますわ、アカネさん!

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