たまには夫同士で会話を…… おまけ

たまには夫同士で会話を…… おまけ

 「姐さんだろうと、俺ちゃんにも譲れないモノがあるんだ……」

 「ダメ、渡さない……」

 「へへ……、いくら姐さんだろうとそれは譲れないぜ……」

 「ならば、戦い……」


 男には、負けられない戦いがある。

 それによって、いかなるものを失おうとも、愛するものと戦おうとも……。


 「俺ちゃんは決して、ラーメン駄菓子は譲らないぜ!」


 今、俺ちゃんの目の前にはビール、姐さんの飲むカクテル缶そして大量の駄菓子が置かれている。

 あぁ、俺ちゃんも姐さんも駄菓子が大好きだから常に常備されている、い事は何もない。


 だが、その駄菓子の中でも、このおビールちゃんに会うラーメン駄菓子だけは決して譲る訳にはいかない。

 だって美味しいのだもの! ビールに合うのだもの! だからこそ、この最後の袋の中に詰まったカリカリの麺は譲れない!

 それは姐さんも同じだろう。

 だから俺様と姐さんは、この袋を引っ張り合っているのだ。


 「俺様は毎日3食たべたって平気な位大好きなんだ! だからこれだけは譲らないぜ!」

 「レディーファースト、大切!」

 「それは……、アレだよ、ここは男性が安全なのか先に食べて判断する必要があるから、だから俺ちゃんに渡すんだ姐さん!」

 「ダメ、私が安全確認!」

 「だからそれは俺ちゃんが!」

 「私が!」

 「「あ!?」


 そして、俺ちゃん達の争いを止めたかったのだろうか?

 袋はびりっと破れ、ラーメン駄菓子が宙を舞い飛び散り、地面へ散らばる。

 うん、あ~、その……


 「姐さん、コンビニまで駄菓子を買いに行こうか?」

 「……うん」


 最初っからこうすればよかったな、ホント……。

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