結婚した幼馴染は何年たっても猫みたいです
赤城クロ
プロローグ
幼馴染は何年たっても猫みたいです
『30歳になっても互いがフリーだったら、僕と結婚しようではないか!』
20歳の時は冗談だと思って、幼馴染のアカネと約束した事だったが、今年の6月24日に30になった誕生日。
『ふふ、互いにフリーだな。 では誕生日に私をプレゼントしよう、なに結婚する約束だったからな、さぁ私を受け取れ!』
と言う言葉を受け、アカネと結婚してから、早一週間経つ。
思えば、アカネとは何年の付き合いになるだろうか?
幼稚園に入る以前に出会い、そして社会人になってもよく遊んで……、まぁとても長い付き合いがある訳なのだが。
「ふふ、やはり高校の制服、未だに似合うじゃないか僕は! ふふ、流石才色兼備な生徒会長と言われただけの事はあるな!」
「どうしたんだ、高校の時の制服を取り出して?」
「なに、僕の美しさを再確認してほしくてな、どうだい?」
「…………」
ホント、昔っからこいつは変わらない。
と言うか17歳の時から外見も内面も全く変わらない気がする。
セミロングの黒髪に大きな瞳、やや大きいアヒル口の両端から、わずかにはみ出る八重歯。
そしてシワ一つない美しい肌のおかげで、まぁ今の見た目は完全にやや中性的な女子校生か女子大生と言っても良い、美しさで……あ!
「おっと、そろそろお風呂掃除と洗濯物の時間だった……」
「ちょ、ちょっと待ってくれたまえ! 私の芸術的な美しさを評価してから……」
さて、家事の事を想い抱いた俺は、誉め言葉が返ってこなくて戸惑うアカネをよそに、静かに風呂場へ向かい風呂の掃除を手早く行う。
そして、その後お湯を入れ始め、その間に自分の私服に入れて、洗濯機へ。
先に言っておくが、俺は家事が大好きだからやっているだけで、別にアカネに頼まれたわけでは無い、むしろさせてくれと頼んだぐらいだ……っと、アカネの服や下着は別にしておこう、もしかしたら俺の服と一緒に洗われるのは嫌かもしれないからな……。
さて洗濯機を回したら、次は皿洗いを済ませ……っと、そう言えばベランダに干した服、まだ取り込むの忘れてたな、今のうちに取り込もう!
…………。
「むにゃ〜〜〜……」
さて、不満そうな顔で俺を見つめるアカネをよそに、俺は胡坐をかいて服を折りたたむ。
一言先に行っときますけど、コイツは殆ど家事しませんよ、ええ。
いつも自由気ままに一日過ごす、まるで猫と言うか……。
しかしまぁ、コイツのパンツ、派手だな……、真っ黒でヒラヒラが付いて……。
「コータローは僕の美しさには反応しないくせに、僕の下着に興奮しているのかね? コータローのスケベ……」
いつの間にかアカネが俺の後ろから抱き着いて、首元を甘噛みする。
と言うかだな。
「お前、自分の下着位は自分で畳んでくれよ……」
「素直に僕を称えないコータローの首元を、甘噛みするので忙しい……」
「…………」
ホント猫みたいだな、コイツは……。
しかし、いつからこんなヒラヒラのついた下着をつけているんだ?
昔、遊びに行ったときは白いバックプリントだったって言うのに……。
「む〜〜……、僕には下着の価値しかないと言うのかい……」
「…………」
ピーーー……。
両手で下着を広げ眺めていた俺に、不満げな息を俺の耳に直接吹きかけられ、そして風呂の湧いた知らせが鳴る
あぁ、めんどくさいなホント……。
「120点……」
「ん?」
「100点中120点の美しさだ、アカネは……。 先に風呂に入るぞ、お前の唾液で首がベトベトだからな……」
甘噛みが終わったと同時に、腕の抱き着き具合が強くなる。
どうやらアカネは嬉しいらしい。
そして。
「ふふ、僕を褒めてくれたお礼に、120点の体の美女の僕と一緒に、お風呂に入ろうでは無いか?」
「か、勝手にしろ……」
「ふふ……」
アカネは抱擁する腕を解くと、サッと二人分の服を持ってきた。
そして俺とアカネは一緒に風呂に向かう。
互いに服を持ち、そして俺の右手、アカネの左手の指を絡ませながら……。
ピーピーピーピー。
「あ、洗濯機が鳴ってる……うーむ、夜だけど、明日休みだしベランダに干すとするか……」
「ぼ、僕との入浴はどうするんだい!?」
「入浴は後! 干しておかないとシワが付くから……っていだだだだだだ、アカネ、俺の腕を思いっきり噛むな!」
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