湯煙

後の大宰相イブラヒム・パシャと、皇帝スレイマン1世となる不憫な少年のとある夜。 ＊そこまで直接的な描写はありませんが、この子たちは“とても親密な間柄”です。 ＊それぞれに怖い夢…

襄陽《じょうよう》は水陸の交通の要だ。 戦乱の世が訪れるたび、必ず争いの的となる。 こたび、ここで語るのも、襄陽を巡る宋国と金国の戦の記録である。 主人公の名は、趙萬年《ちょ…

「それで、そなたとスレイマンは相変わらず見ている方が恥ずかしくなるような熱愛ぶりなのか？」 16世紀前半、スレイマン1世時代のオスマン帝国。ハプスブルク家に対抗するため、フラ…

佐和子はバレンタインデーが嫌いだった。 友達もおらず孤独だった中学一年生のころ、チョコをあげる相手は父親しかいなかった。 そんな佐和子に起きた、とある出来事とは。

僕はいつものように病室を訪れる。少女のまま眠り続ける三歳下の従妹、由衣子に会うために。

僅か10歳にして教団を率い、14歳で王となったサファヴィー朝のイスマーイール1世。無謬の救世主とまで謳われた王に、敗北などあろうはずがなかった。そう、その日までは。 ＊マグネ…

　亡くなった叔父の遺品を整理している時に見付けた、一冊の日記帳。そこに書かれていたのは、「異世界」での生活の記録や心躍る（？）冒険譚の数々だった。 　もちろん、叔父は異世界になん…

　百年戦争の最中、祖国によって見捨てられ死に至った聖女、ジャンヌ・ダルク。その救出を希いながらも、恐怖から身動き一つ取れなかった一人の騎士は、セーヌ川で彼女の遺灰をかき集めながら…

　辺境の惑星にやってきた運び屋のフィリップ・アーゲンは、突然の救難信号に惑星への降下を余儀なくされた。 　相棒のコンピュータ、ナビと共に現地を探ったアーゲンを待っていたのは、多く…

「この娘はいずれ王を害するであろう」 生まれたときにそのような託宣を受け、都から遠く離れた御廟で生涯を終える筈だった鈴雪は、王の手で都へと連れ戻される。王の后となる為に。 大…

オークショニアになることを夢見る少年・オーギュストは、『勇者が生まれる』と予言された町で、友人たちと楽しい少年時代を過ごしていた。 オーギュストは今日も、父親からもらった木槌《き…

　聖王イシュナグと魔王ガラムは長きに渡る因縁に決着を着けるため、激しい一騎討ちを繰り広げられました。 　その一騎討ちのさなか、二人の王は忽然と姿を消してしまわれたのです。 　あ…

第3回カクヨムWeb小説コンテスト恋愛部門にて特別賞を頂きました。 ビーズログ文庫さんより、書籍化いたします。 皆様のご愛顧に感謝を。 ときは大晶（たいしょう） 和桜国（わおう…

星の女神が人間達に加護を与える世界。 人々は与えられた力でそれぞれに身を立て外敵と戦う。 そんな世界――王国の危機に、勇者として召喚されたはずだった。 剣と魔法の世界。ファンタ…

高校生の理沙には、誰にも言えない秘密がある。 実の兄である智樹とは、前世で死に別れた恋人同士だったのだ。 禁断の恋に苦しむ二人。 けれどある日、幼なじみから告白された理沙は――…

大国のかざす正義によって蹂躙された砂漠の国。 トードリリー。歌えない鳥と青年の出会いは、二人の未来にどんな分岐を齎すのか。

恋人に呼び出されて住宅街を散歩する、それだけ。 不安定で鮮やかで、ほんのり色っぽい夏のお話です。 ※夜のカクヨム甲子園参加用作品

『今昔物語集』巻第二十五「源頼信の朝臣の男頼義馬盗人を射殺す語第十二」「藤原親孝盗人の為に質に捕へられ頼信の言に依りて免す語第十一」ほぼほぼそのままのお話です。 本作の主人公は…

　ええ。そうなんです。作れるんですよ。オリジナルが。実録です。 　自主企画用の読み切りのつもりだったんですが、他にもいろいろ書けそうなので延長戦。どこまでも直球投げるのが嫌いな…

『指先に火を灯す能力』を持った、とある殺し屋の物語。 彼女の奇妙な仕事風景を、少しだけ覗いてみよう。

閉じこもった少女。バス停のおじさん。 ささやかな物語。 大切な少女の思い出。

「恵みの雨だよ」 　出かけられない恨みの雨のことを貴方はそう言った。 　あの日から雨の日が好きになった。 　貴方に会えなくなった今も雨が降ると嬉しい。 　貴方が…… 　逢…

幼いころに両親を失い施設で暮らす悟（さとし）は、ある日アンティークな黒電話を手に入れる。 それはどこにも繋がっていないのに、どこかに繋がる不思議な電話だった。

これは私の書いた小説の冒頭に付けていた文章です。そのため、続きがあるような表現になっています。しかしストーリー上は本文との関連がないので今回あえて単独で掲載してみました。 意味不…

これはギャグです。 本当に深いメッセージ性はありませんので、あくまでコメディとしてお楽しみ下さい。 繰り返しますが、ギャグでコメディです。

掌編ミステリー

　ある女が友人に送った最初で最後の手紙。その手紙には、女の秘められていた想いが綴られていた。

夜のフクロウと朝のニワトリの毎日の話。

わが子のためを思った夫婦の話。 自主企画「これが愛だ」様参加用です。

いつも笑顔の彼女は街の人気者。 今日も若草色のドレスの裾を翻して貸本屋さんに出かけます。 だけど彼女には『友達』が一人もいません。 ある日彼女の前に現れた『笑わない』少年。 た…

少女は死んで、土の下に行った――。 そこでは、かつて死んだものたちが幸せに暮らしている。やがて少女はその暮らしの中で、あることを考えるようになる。 それは、少女が『本当の幸せ…

旅行先に立ち寄った平和記念公園。そこは桜が咲き乱れる市民の憩いの場であった。 かつては焦土と化していたこの地に眠る人は何を思うのか…。 過去にあるブログ(現在は閉鎖)に発表した…

俺は約半年間「エマダツィ」なるブータン料理にトライし続けた。 何故？ 笑顔と言う名の調味料。 幸せと言う名の満腹感。 空腹から俺はその時、満たされた。

「仮想箱を説明するって男がいるらしいぞぉ、私がその男だ！」 『私はセンセイという名前を与えていただきました、ミカエル様に仕えるアンドロイドでございます』 絵を描く人の絵を描く人…

彼女はどうしていつもこの季節にやってくるのだろう 気になる僕は彼女を追うのだけれど その先には――――

ある日帰宅途中、道端に倒れている女性を見つけ、保護した。その女性は記憶を無くしていた。 会社が休みの日などを使いその女性の記憶を取り戻す事に。そして次第にわかっていくその女性の過…

バレンタインデー。世界中で、銃弾や爆撃機の代わりに愛が飛び交う日。 いつか何処かで、本当にあった物語。 【関連作品】 ✳︎『いつものように』 https://kakuyom…

《自主企画参加作品です。》 日本各地から新鮮な魚介が集まるトゥキジ市場。 場外に店を構える登呂寿司は今日も盛況だ。 ただ、この寿司屋には裏の顔がある。依頼される案件は100パ…

　カクヨム読者・作者にケンカを売るという炎上商法的な作品です。 文章が下手な人間がそれを棚に上げて、自分の評価が低いのは、周りのみんなの基準がおかしいのだとわめいていきます。 …

　ファミレスのバイトで食いつなぐ、しがない低賃金労働者・舞田周防（まいだ・すおう）の唯一の娯楽。それは夜ごと見る夢の中での目くるめくような冒険だった。 　目を閉じて眠りに落ちれば…

彼にはひそかな楽しみがあった。 異界への門を抜け、日々の憂いと悩みとを忘れて自由気ままに過ごすことだ。 草原に寝転びながら二つの月を見上げる眼前を、その日飛び越えた者がいた。 …

ＴＬのお題より。 「百秒の孤独」がテーマ。 現代もので精神的なところへ踏み込んでしまうと長くなりそうなので、ＳＦで短編。

お題付き掌編練習。 「大好きな男性と初めてデートした夜、帰宅後、就寝前ベッドで一人眠る女の子の気持ちを三千字以内で」というお題で書きました。 ↓ 更に「五百字ピッタリで」という縛…

こちらの小説は自主企画「会話文オンリ―　そして最後は「生理的に無理」で！」の参加作品となります。 https://kakuyomu.jp/user_events/11773540…

縁結びの神のところにやってきた中学生の願いごととは――。埼玉県川越市にある「氷川神社」を舞台にしたお話です。ご祭神を勝手に登場させてしまいましたが、どうか祟られませんように。 …

並木島高等学校における「オカルト研究会」あらため「月波町異聞蒐集部」による活動記録。 櫛見裕哉、高校二年生の夏。これは夏休みに入る少し前のお話。 このお話は一応前身となる、部発…

ジョルジュ・サンド作『愛の妖精』をベースにした想区での物語。 この想区を訪れたエクス達一行は、“魔女”と呼ばれる少女の話を耳にします。 少女はすでに幾多の偏見に耐え、周りに努力が…

簡易タイムマシン「ループボタン」が開発された。 キャッチフレーズは、「あなたの楽しかった一日を、もう一度過ごしてみませんか？」 一回使いきりで、24時間前に戻れます。お値段たった…

　地方の公立高校に通う平凡で健全な男子の俺、駆。 　ひょんなことから、トナカイにサンタハウスに連れ去られました。 　夢だと思ったんだけど、どうやら違うらしくて、クリスマスのお…

【日帰りファンタジー短編コンテスト参加作品】 女子大生の市川真音（いちかわ　まのん）は、気がつくと見知らぬ人の家にいた。 家の主である女性は、名を呉葉（くれは）といい、交通事故…