星が降るようで

作者 咲川音

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★★★ Excellent!!!

もしも、前世で死に別れた最愛の恋人と、兄妹として生まれ変わってしまったら、あなたならどうしますか? ――そんなキャッチコピーが頭を過りました。
もちろん、現代において兄妹間での恋愛は禁忌です。主人公の理沙(前世の名前は「まゆこ」)と実の兄であり前世の恋人である智樹(前世の名前は「誠一」)もそれをよくわかっています。
だから、二人が「まゆこ」と「誠一」という恋人同士として会うことができるのは、たった一冊のノートの中でだけ。現実では口をきくことすら滅多にないただの兄妹として生きているのです。
この時点でもう切ない。どんなに深く愛しく想い合っていても、絶対に結ばれるわけにいかない間柄なんて。偶然とはいえ何という残酷な生まれ変わり方をしてしまったのでしょうか。
そんな息苦しく切ない恋を抱える理沙ですが、いつまでもこのままではいけないとは頭では理解しています。それほど遠くないうちに諦めなければいけないのだと。その時は迫っているのだと。けれど、理沙の中で「まゆこ」が泣くのです。『まだ、終わらせたくない、終わらせないで』と、いつしか理沙が自分と「まゆこ」の境目がわからなくなるほどの切実さで。
危ういまま保たれていた均衡は、理沙の幼なじみである優太からの告白と、その傍に智樹が偶然居合わせたことによって崩れました。その夜、理沙は智樹に誘われます。明日、思い出の街へ行こう、前世の恋人誠一とまゆことして、と。それは終わらせるための旅でした。
変わり、失われてしまったものばかりを思い知らされる小さな旅の最後に、たった一つ理沙が見つけた「 あの時と同じ二人の思い出」。
そうして動き出す二人の時間に胸がつまります。
捨てられないけれど捨てなくてはならない恋に揺れる理沙たちと、二人が見つけた「あの時と同じ思い出」……切なく美しい恋の景色を是非その目でお確かめください。

★★★ Excellent!!!

理沙には、前世の記憶があった。
恋も最期も、意思でさえ理沙のなかに灯る、前世の自分、「まゆこ」。

そして、「まゆこ」の愛した「誠一」が今、転生して近くにーー、近すぎる距離にいる。

「まゆこ」と「誠一」を繋ぐものは、一冊のノートだった。

***

うまく言葉にできません。

短編小説だけれど、とても濃い。
読後には、喪失感と充実感が入り交じります。

何度でも読みたくなります。読むたびに何かを掴めるようで、掴みきれない何かがまだあります。


本当に出会えて良かったです。
ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

過去、互いを愛し合っていた『まゆこ』と『誠一』。
まゆこの死という不遇な別れから時が経ち、生まれ変わった2人は『理沙』と『智樹』という兄妹として過ごしていた。


普段は兄妹として接するものの、過去の愛に囚われ、過去の愛を今の自身にも投影する2人。
決して叶うはずもない愛を大事にしてきた2人が、最後の最後で下す決断に、ぎゅっと心が締め付けられた。


これは一つの愛の終わりと新しい始まりを描く、ステキな物語。