純文学好きにおすすめです。1話だけど、内容が詰まってます。文章の節々が印象的でした。タイトル、比喩表現、どれもいいです。切ない現実ですが、それだけではないですね
少女のまま眠り続ける三歳下の従妹を十年ものあいだ見守ってきた主人公だが……。鳥籠。小鳥。怪物。そしてタイトルでもある『小鳥は怪物に見つからない』という、眠りにつくまえの少女の言葉。象徴的に描かれているこれらのキーワードをどう受けとるか。はたしてほんとうに鳥籠にとらわれているのは誰なのか。そこに閉じこめたのは過去なのか。それとも、未来なのか。誰も悪くないはずなのに背負わずにはいられない罪悪感。誰も責めることができないやるせなさ。きれいごとではすまされない現実。切なく苦しく、けれど途方もなく美しい別れの物語。ぜひ読んでみてください。
眠ったままの少女を献身的見守る主人公の物語。 題名の「小鳥は怪物に見つからない」は少女の口癖だった。 時が止まってしまった少女。 しかし主人公の時間は止まらない。 主人公が少女にプレゼントした鳥籠入りの小鳥。 二人の約束。 しかし、約束は守られなかった。 何故、主人公は二人で交わした約束を違えたのか――? そこには主人公の葛藤、軋轢、猜疑が読み取れる。 少女は言う。――あの鳥籠の小鳥はわざと逃がしたの。 二人の会話、関係性、時間の流れ。 その全てが切ない一作。 是非、是非、御一読ください。
五千文字にみたない切りつめられた文章のなかに、かなしくもうつくしい別れの物語がおさめられています。読後にのこされた余白になにを描くべきか、そうかんがえるとき、すでに読者はこの物語という鳥籠のなかの、一羽の小鳥になっているのかもしれません。僕と由衣子さん、たったふたりの登場人物と、小鳥と鳥籠、そして怪物という、みっつのキーワード。はたされない約束と、別れ。あなたはこの物語を、どんな風によみますか?
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