おおぬきさんと私

作者 陽澄すずめ

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★★★ Excellent!!!

 日常のテンポやリズムは、誰にでも無意識の内にある物だと思う。主人公にとって、コーヒーを飲みたくなることが、それだった。ある日、レジに並んでいると、レジの係りの女性アルバイトに、怒鳴る男性がいた。しかしそのアルバイトの女性は、完璧にその場をやり過ごすのだった。主人公はそのアルバイト女性の、接客にささやかに感心しする。彼女のネームプレートには「おおぬき」とあった。
 しかし、それ以上の関係を築くことはしない。あくまでも、「おおぬきさん」はレジ係のアルバイト女性で、主人公は客の一人。例え「おおぬきさん」がその店を辞めてしまっても、主人公はこれからも、店にコーヒーを飲みに行くだろう。
 主人公は店を辞めた「おおぬきさん」と、すれ違ったことがある。その時、主人公は……。

 小さな出来事しか起きないのに、これだけの読み応えは、作者様ならでわ。
 日常系小説の決定版的作品だ。
 
 是非、御一読下さい。

★★★ Excellent!!!

昔、勤め先の裏にあったカフェに、めちゃめちゃ美人の店員さんがいたのを思い出しましたね……(お話と全く関係ない)

特に会話もないただの客と店員という関係性って何だか不思議ですよね。別に世間話すらしないドライな関係。でも、よくいくお店なんでお互い顔がわかってる。みたいな。
ぼくも昔よくお世話になってたお弁当屋さんの、笑顔が素敵な恰幅のいいおばちゃんが「ねもと」さんであったこと未だに覚えてますからね。

このお話はお客さん目線のお話だけど、店員さん側も同じようなことを思ってたりしますよね。「ごちそうさま」言ってくれるOLさんまた来た、的な。店員さんはお客さんの名前がわからないんで、勝手に名前つけてたりしますよね。(例:ミラーマン……お店に入るや、注文する前に必ずガラスに映った自分の髪型を整えることからついたあだ名)

今度は「おおぬき」さん視点の物語も見てみたくなりましたね。

★★★ Excellent!!!

この物語はタグにもあるように何も起こらない話です。
マジで何も起こらない。
しかし主人公の心情や振る舞いは、僕を含めた現代人の典型ではないかと。
ここに書いてあることはよくある現実?
多分そう。
だからこそリアルで、共感できます。
淡々とした印象の文体がピタリとハマっています。
無理やりドラマティックな展開にしなくても、些細な日常がドラマでした。