概要
落ちていく僕を、彼女は歌で救い、体温で堕とした。
恋愛部門 週間1位(R7.8.23~9.4)/月間1位 読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。
土砂降りの中、告白は終わった。
離れていく傘、頬に刺さる雨。金髪の男子が現れ、十年来の幼なじみ・結衣は笑って駆けていく。
「昨日みたいに、がっかりさせんなよ」
そんな軽薄な言葉にすら嬉しそうにする結衣。
十年の歩幅は、彼に向かう三歩に追い抜かれた。
失恋後、学校の屋上の縁へ来た——そのとき、澄んだ歌がぼくを呼び戻す。
声の正体を追い、辿り着いた、立ち入り禁止の旧図書室。
銀糸の髪、黒曜石の瞳。月乃(つきの)まひるは指を唇に当て、ぼくを見つめた。
「……秘密、守れますか?」
美しさのあまり、他人を寄せ付けない雰囲気を纏う彼女。
一歩、また一歩。誰にも触れさせないはずの“距離”が、彼
土砂降りの中、告白は終わった。
離れていく傘、頬に刺さる雨。金髪の男子が現れ、十年来の幼なじみ・結衣は笑って駆けていく。
「昨日みたいに、がっかりさせんなよ」
そんな軽薄な言葉にすら嬉しそうにする結衣。
十年の歩幅は、彼に向かう三歩に追い抜かれた。
失恋後、学校の屋上の縁へ来た——そのとき、澄んだ歌がぼくを呼び戻す。
声の正体を追い、辿り着いた、立ち入り禁止の旧図書室。
銀糸の髪、黒曜石の瞳。月乃(つきの)まひるは指を唇に当て、ぼくを見つめた。
「……秘密、守れますか?」
美しさのあまり、他人を寄せ付けない雰囲気を纏う彼女。
一歩、また一歩。誰にも触れさせないはずの“距離”が、彼