少女のまま眠り続ける三歳下の従妹を十年ものあいだ見守ってきた主人公だが……。
鳥籠。小鳥。怪物。そしてタイトルでもある『小鳥は怪物に見つからない』という、眠りにつくまえの少女の言葉。
象徴的に描かれているこれらのキーワードをどう受けとるか。はたしてほんとうに鳥籠にとらわれているのは誰なのか。そこに閉じこめたのは過去なのか。それとも、未来なのか。
誰も悪くないはずなのに背負わずにはいられない罪悪感。誰も責めることができないやるせなさ。きれいごとではすまされない現実。切なく苦しく、けれど途方もなく美しい別れの物語。ぜひ読んでみてください。