亡くなったおじさんの遺品を整理していたら、出て来たおじさんの日記。そこに書かれていたのは、とつぜん異世界に飛ばされて、そこで大冒険を繰り広げるおじさんの自伝。
いやこれ、日記じゃなくて、恥ずかしい黒歴史的「異世界転生小説」でしょ。おじさん、こんなもん、書いていたのか!
という、ちょっと他人事とは言えない展開(笑)。
ちなみに、おじさんの異世界転生日記(もしくは黒歴史小説)の内容は、異世界に飛ばされたおじさんは、生活のためにギルドでクエストを受けるのだが、なにせ何の能力もないおじさん。大したクエストは受けられない。おじさんにあるのは、人生経験だけなのだ。
が、その人生経験をフルに生かし、細かいクエストをつぎつぎとこなして行くおじさん。しかし、やがておじさんは異世界で大きな陰謀に巻き込まれ……。
一方、おじさんの黒歴史小説を読んだ「ぼく」は、おじさんの過去を探ることに。するとそこには、一人の人間が悩み、苦しみ、あがいた過去が浮き上がってくる。
だが、なんだろう? おじさんの記憶と過去に齟齬があり……、これはもしかしたら、おじさんは……。
本作は、すでに亡くなったおじさんの残した異世界冒険譚と、その遺品から「おじさん」という男の人生を垣間見る「ぼく」のふたつの視点で語られる物語です。
『果たして、おじさんは、本当に異世界に行ったのか?』
場面場面、そしてパートごとに雰囲気の変わる物語なのですが、一貫してこのテーマが貫かれている。
あなたなら、行きますか? 異世界がそこに、本当にあったしとして?