概要
猫はお好きですか?ならば、この話はおわかりになるはずです。
「それで、そなたとスレイマンは相変わらず見ている方が恥ずかしくなるような熱愛ぶりなのか?」
16世紀前半、スレイマン1世時代のオスマン帝国。ハプスブルク家に対抗するため、フランスと事実上の同盟関係を結び、大宰相イブラヒム・パシャはフランス王フランソワ1世に謁見する。軽薄なのか真面目なのか掴みがたいフランス王は、イブラヒムにこんな問いを発する。
行きがかり上、主君とのいびつな“熱愛”について語ることになったイブラヒムは…。
*あんまりBLという言葉を使いたくないのですが(いい年なので)、スレイマン1世とイブラヒム・パシャの「公式」レベルの“熱愛”前提です。
*あとがきも本編です(歴史的なネタバレあり)
16世紀前半、スレイマン1世時代のオスマン帝国。ハプスブルク家に対抗するため、フランスと事実上の同盟関係を結び、大宰相イブラヒム・パシャはフランス王フランソワ1世に謁見する。軽薄なのか真面目なのか掴みがたいフランス王は、イブラヒムにこんな問いを発する。
行きがかり上、主君とのいびつな“熱愛”について語ることになったイブラヒムは…。
*あんまりBLという言葉を使いたくないのですが(いい年なので)、スレイマン1世とイブラヒム・パシャの「公式」レベルの“熱愛”前提です。
*あとがきも本編です(歴史的なネタバレあり)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!悲劇への前奏曲
大いなる物語のプロローグは、概して穏やかなものである。約束されたエピローグに向けて、イブラヒム・パシャの「ひとカラ」はクライマックスを迎える。
フランソワ一世。イブラヒムをしてスレイマン一世を彷彿とさせる、とまで言わしめる。それは何も性分だけの話ではないだろう。人は人を知る。スレイマンとの友誼は、なにも人品にのみ由来するものでもあるまい。
かれの主君に対する合わせ鏡のごとき「名君」を前にし、否応なしにイブラヒムの「ひとカラ」は盛り上がる。それはもう、絶好調というべきである。そこから導き出される結末は、どうしようもないくらいの破滅、あるいは破綻である。
ある「偉大なる」人間の実態は、世間…続きを読む - ★★★ Excellent!!!愛すべき皇帝陛下を愛すと決めたひとりの人間の思い
日本では最近ようやく注目され始めたばかりでまだあまり情報は多くないと思われるオスマン帝国の話ですが(舞台はたまたまフランスですが、主人公で語り手のイブラヒムはオスマン帝国の宰相です) そういう歴史ものとしての硬さはなく、あえてライトなノリで言ってしまうと、可愛い可愛い私のご主人さまスキスキ❤な従者(作品の雰囲気をぶち壊してしまっていたらすみません……)の語りです。
確かに歴史の描写は多く、この頃のフランスの状況やスレイマニエ・モスクについて知っていた方が面白いと感じられそうですが、絶対知っていなければならないなんてことはなく、歴史なんて自信がないよーと思われる方ほど「ああ……この人本当にスレ…続きを読む