愛すべき皇帝陛下を愛すと決めたひとりの人間の思い

日本では最近ようやく注目され始めたばかりでまだあまり情報は多くないと思われるオスマン帝国の話ですが(舞台はたまたまフランスですが、主人公で語り手のイブラヒムはオスマン帝国の宰相です) そういう歴史ものとしての硬さはなく、あえてライトなノリで言ってしまうと、可愛い可愛い私のご主人さまスキスキ❤な従者(作品の雰囲気をぶち壊してしまっていたらすみません……)の語りです。
確かに歴史の描写は多く、この頃のフランスの状況やスレイマニエ・モスクについて知っていた方が面白いと感じられそうですが、絶対知っていなければならないなんてことはなく、歴史なんて自信がないよーと思われる方ほど「ああ……この人本当にスレイマンという皇帝が大好きなんだな……」と思いながら読んでいただきたいと思います。
オスマン帝国はイスラーム国家なので例示にはムハンマドが用いられますが、使われたエピソードも、ツイッターを席巻する猫画像よろしくムハンマド猫大好きエピソードで、イメージしやすいものではないでしょうか。
そうかー、イブラヒムにとってはスレイマンはネコなのか~。(大いに誤解を招く表現)
スレイマンを思うイブラヒムの気持ちは頼もしくもあり、可愛らしくもあり、どこか危なっかしいです。
でも、その気持ちを貫いてほしいと思います。
だって、固いきずなで結ばれた主従が世界を変える物語だなんて、ロマンしかないじゃないですか。
フランス王に見せつけてやれ!

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