概要
「スレイマン様って誰よ」という方のために解説しておくと、後にオスマン帝国の偉い皇帝になる方(1494~1566)なのですが、本作(1510年設定)では県知事(サンジャク・ベイ)という地方官ポジションにあり、適当に仕事をこなしながらライトノベルを書いている下っ端王族です。
現代パロディではなく、他のオスマン帝国もの同様、「歴史」カテゴリーなんですが、タッチは軽め、単発で読めます。というか、単発です。
*マグネット!で他の短編と合わせて連作として掲載中。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!神ではないものを神であると思い込んで崇める
ライトなノリで展開されるスレイマンさま(覇者として超ヤバイ)とイブラヒム(すっげー雑に言うと諸葛亮)のラブラブちゅっちゅ(物理)をにこにこと眺めていたのですが、後半にいきなり出てきたこの言葉で刺されて、ええと、何と言うか。
その落差で爆笑しました。
いやっ、そのっ!?
自分はイスラームに明るくなく、コーランの向こうにいる人々の顔があまり見えません。だからコーランの「アラビア語のみで書かれるべき。その言葉を一字一句違えぬためにも。外国語で書かれたコーランは、ただの解説でしかない」と言うメンタリティの厳正さに心打たれつつ、そうでもしなきゃ弱い人間の解釈はどうしても揺れちゃうよねーと思…続きを読む - ★★★ Excellent!!!友達以上、恋人未満?コメディタッチで描かれる男同士の色っぽい会話が素敵
先に『羅針盤は北を指さない』を拝読していたので、とてもクールに決め込んでいたスレイマン様の意外な初々しいお姿に、常ににやけてしまいました。
内容は、学校に通ったことのない王族である県知事スレイマン様が、学園生活に憧れて、男子校を舞台にライトノベルを書きたいと言いだす一見ぶっとんだものです。が、きちんと史実に基づいていることに驚かされました。それに、作者様の筆致は相変わらずとても綺麗で、丁寧なんです。ただ、彼(スレイマン様)は恋愛ものを書きたいと仰っていて、実は好意を寄せている人が・・・。
BLまではいかない(?)のかもですが、そんな感じも楽しめて、これまで全く興味が無かった世界の扉…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ラノベを書きたい県知事さまとお目付け役は、世界史のあの人達…?
まだ16歳の、ごく若い王族かつ県知事の名はスレイマン。その監視役として中央から派遣されてきたのはイブラヒムという名の若者。前者は慣れない官僚勤めに奮闘中、後者はエリート街道を歩み出したばかりだ。
彼らはのちに、オスマン帝国の最盛期を築く壮麗帝スレイマン1世およびその寵愛を受ける大宰相イブラヒム・パシャとして、ヨーロッパにまでその名をとどろかすことになる。
県知事さまがイブラヒムに一通の手紙を渡し、「検閲してほしい」と頼むところから物語は始まる。緑の瞳を輝かせて、ふわふわと話をあちこちに雲のように飛ばしつつ、自分の夢や希望を語る県知事さま。経験し得なかった「学校」を舞台として物語を書きた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!美貌の若者二人がイチャイチャしながら真面目に語る、イスラームのアレコレ
ある国の歴史を読み解く上で、その国の文化と思想を創り上げているものを知る必要がある。大抵の場合、それは宗教だ。イスラームの教えは日本人には馴染みが薄く、なかなか理解し難い。それを分かりやすく、ちょっと不思議な関係にある美貌の若者二人に語らせたのが、この作品だ。
スレイマン1世と言えば、軍事に長け、立法や行政の整備に努め、歯向かうものは己の息子であろうと処刑する冷酷さを持ち合わせた、オスマン帝国を最盛期に導いた皇帝だ。
だが、この作品に登場するスレイマンは、仕事中に部下に手紙を回してきたり、「恋愛小説の執筆がしたい!」と突然言い出すような天然ボケ。しかも「舞台は男子校。恋愛要素も取り入れて…続きを読む