夢の中から毎晩一つだけ、現実に持ち込めるという異能力を持った主人公が、うっかり夢の中の異世界の王女を連れ込んできてしまう。表向きはそう言うちょっと変わった異能力者と王女のファンタジー作品。
しかし、この作品には裏の顔がある! 一度持ち込んだモノを再び夢の中に戻せないのに、王女を国に返さなければならない! 王女の悪意のない悪口や現実世界での生活にノックアウトされつつも、主人公は仕事に繰り出す。そこで聞いた都市伝説・「タマゴおじさん」。この卵型のおじさんは人間を食べてしまうという。しかも、この「タマゴおじさん」は、主人公が夢から現実に引き込んだらしく……。
無事に王女は国に帰れるのか? 「タマゴおじさん」はどうするのか?
そして最後のどんでん返し! やられた! 最後にそうきたか!
異世界ファンタジーであり、現代ファンタジーでもある作品だが、そのロジックはSF並で、最後まで楽しく拝読できました。
短くて笑える、そして妙に最後に腑に落ちる。
是非ご一読ください。
主人公はぶっちゃけなんかそこらにいる普通の人って感じです。
ちょっと手癖が悪かったり、エロさもあったり、それでいて正義感とかもあったり……。
でも、そんな普通の人が寝ている間だけ勇者として活躍する……ああ、ここまで聞くと、ありふれた話に聞こえますか?
大丈夫です!
すんげぇー予想外の結末があなたを待っています(笑)
それにですね、この作品の一番のお薦めは姫です!
素敵な理想の姫……その姫との熱い一夜が、すんげぇーメタファーで書かれています!
もう姫がいれば主人公いらないぐらいです!
というか、私が主人公になりたい!!
寝ている間だけ換わってくれ!!(笑)
日帰り異世界企画作品。
夢を介して異世界と現実世界を行き来する、というあたりは誰でも思いつきそうですが、そこからの設定が秀逸です。
異世界のものを何か一つお持ち帰りできる、ただし逆に向こうに持ち込むのは今のところ不可っぽい。
そしていきなり大物をお持ち帰りしちゃっていますし。
文章もテンポが良くて、すんなり引き込まれます。
特に、主人公スオウが盛っていたことをナチュラルにバラされるあたりは大笑いしました。情報の出し方が上手いですね。
企画の趣旨通り、異世界と日常の両方で問題を抱えて、そこを行き来する、というシチュエーションをほんとに上手く作ったものです。
まさに、お持ち帰り、という言葉の出番でした。