街のみんなに好かれる、いつも笑顔のノスリさん。
本が大好きで、男たちの求婚には耳を貸さず、
晴れの日には街にやって来て、決まった買い物をする。
ノスリさんがどこに住んでいるのか、誰も知らない。
ある日、ノスリさんの前に現れた男の子は、
ノスリさんにいきなり「嘘つき」と言い放った。
それはどういう意味だろう? 男の子は何者だろう?
思い悩むノスリさんの前に、男の子は再び現れて……。
児童文学のような語り口で描かれるストーリーは
教訓めいたものを抱えながらも説教くさくならず、
ノスリとイトヨ、少し不思議な雰囲気の2人の友情と
2人を取り巻く不条理が、切なくも端正に紡がれる。
孤独に飛ぶ鳥に救いは訪れない。
でも、たまに、こういう悲しみを読みたくなる。
誰かに 呼ばれてる気がして、此処に辿り着いた。
いつもの道を 歩いていく ノスリさんを 見かけたんだ。
その街は、淡くて やさしくて、落ち着けるようで
でも、あなたが 住める場所では なかったんだね。
君が 雨の日に ともだちになった 小さな少年。
本棚の前で 黙ったまま お茶を 飲める しあわせの享受。
おだやかな 山の精。さみしがりやの 水の精。
笑顔は 人を 安心させるためのもの。
でも、笑顔は 本当のきもちを 隠してしまうこともあるから。
すきな人の笑顔を 心配してしまうよね、ほんとなの?って。
そして、変わっていくものの 罪を想う。
もっと 一緒にいたかったね、ふたりで。
君のワンピースの色が、そっと物語の色のように ふんわりと存在して
でもいつしか セピア色になって、空に 吸い込まれていってしまった。