そして彼女は嘘をつくことをやめました。

街のみんなに好かれる、いつも笑顔のノスリさん。
本が大好きで、男たちの求婚には耳を貸さず、
晴れの日には街にやって来て、決まった買い物をする。
ノスリさんがどこに住んでいるのか、誰も知らない。

ある日、ノスリさんの前に現れた男の子は、
ノスリさんにいきなり「嘘つき」と言い放った。
それはどういう意味だろう? 男の子は何者だろう?
思い悩むノスリさんの前に、男の子は再び現れて……。

児童文学のような語り口で描かれるストーリーは
教訓めいたものを抱えながらも説教くさくならず、
ノスリとイトヨ、少し不思議な雰囲気の2人の友情と
2人を取り巻く不条理が、切なくも端正に紡がれる。

孤独に飛ぶ鳥に救いは訪れない。
でも、たまに、こういう悲しみを読みたくなる。

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