大正霊能科学奇談〜我ら、玄洋に眠る有象無象なり〜

作者 小谷杏子

72

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★★★ Excellent!!!

古き時代の生活とハイカラな西洋文化が入り混じる、何とも雑然とした賑やかしい大正の世が舞台のお話。
色鮮やかに描き出される街の様子や、たびたび出てくる飯テロシーンから、この時代の空気感にすっかり惹き込まれます。

個性的なキャラクターが多く登場しますが、中でもメインの二人の関係性が魅力的です。
うだつの上がらない奇術師・一色と、辛辣な物言いの霊能者少年・後藤。
相性最悪で仲悪すぎるの二人のやりとりに、ついニヤリとしてしまいます。

有象無象の仲間たちや正体不明の敵、果ては謎の天狗や未来人まで。
次々起こる怪奇現象の謎を追ううち、人々の心の中にある『悪意』が存在感を増してきて——

いつの時代も、『普通でない人』は異端として見られがちです。
世間の目と、生きづらさ。
彼らの儘ならない人生模様が、テーマとして背景にあるように感じました。

第四章に仕掛けられた舞台装置は圧巻。
盛大で華々しいクライマックスの後、ちょっと関係が氷解した一色と後藤のラストシーンが爽やかでした。
またいつか彼らに会えたらいいなと思える、心楽しい物語でした!

★★★ Excellent!!!

明治の終わりから大正の初めごろ、
100年ちょっと前のことになるが、
霊能力が話題になっていたそうだ。

そんな時代を背景に描かれるのが、
奇術師一色天介を主役とする本作。
物語の舞台は、福岡県の西のほう。

実在の地名が登場し情景が描かれ、
登場人物は土地の言葉をしゃべる。
「奇談」ながらリアリティ抜群だ。

霊能力者に人外、未来人も交えて、
奇妙な物語は意外な方向へ転がる。
結末や如何に。その目で御覧じろ。